ぼそり。
「…どうやら俺達は災厄を招いたらしい」
ぼそぼそ。
「明らかに人災だけど,やっぱり捨てた方が良かったんじゃない?」
「…だから俺は見捨てろって言っただろ」
こそこそ。
「最後は全員納得しただろ」
「…連帯責任か」
一応声は小さく潜められているが,残念ながらスノウには丸聞こえである。
「…あなた方,全部聞こえていましてよ。ですからあれは不可抗力です」
「……まぁ…クルアルティーも悪かったが……鼻血に脳震盪までおこしてるしな」
歯切れの悪い物言いでインケイパブルにそう言われると,スノウも苦々しい気持ちになっていく。
クルアルティーの言いぐさに腹をたてたスノウは,おもいっきり彼を殴った。
その結果,クルアルティーは鼻血を出しながら床に倒れ頭を打ち,脳震盪をおこしたのだ。
まさかこんなことになるとは思わず,スノウは悲鳴をあげた。
その声に他の住人が駆けつけ,事情を聞かれスノウが答えると全員が引いた。
まるで猛獣でも見るかのような瞳で見られ,どうにか無関係でいようとされている。
スノウとしてはどうにか好友的になりたいのだが。
「つーか,あんたは森で何やってたんだ」
そう聞いてきたのはアパシーだ。
すると他の5人が少し驚いた表情を浮かべた。
出会ったばかりで名前しか知らないスノウは知らないことだったが,アパシーはまわりに興味を示すことはまずない。
自分から誰かに関わっていくことのないアパシーが,スノウには興味を示したことに皆驚いていた。
スノウは皆の反応に首を傾げつつ,アパシーの問いに答える。
半分本当と,半分嘘を交えて。
「わたしはあなた達に会いに来たのです。わたしの未来の夫になっていただきたくて。
つきましては,しばらく此処に住まわせていただきませんか」
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