スノウが目を覚ますと,見覚えのない部屋にいた。
大人7人は寝ることが可能そうなベッド。
アンティークらしきの置物。
美しく,繊細な絵柄の絨毯。
明らかにかなりの財政を築いた人の家だ。
「…どちら様の家かしら?」
窓辺に近寄り,外を眺める。
見渡すと,空と森の他には何も見あたらない。
自分は一体,何をしていたか。
記憶を辿ると,森の中をさ迷い歩いていたのを思い出す。
しかし,途中から記憶がぷつりと切れている。
そのことと,今の状況を総合すると導き出される答えは…。
「…ここは『小人』さんの家の可能性が高いですわね」
思わず笑みを浮かべてしまう。
神はスノウを見放さなかったらしい。
森で倒れていたスノウを助けてくれたということは,きっと情に溢れた人たちなのだろう。
だが,この数分後にスノウは彼らに対し,そう思ったことを後悔することとなる。
「さて,噂の『小人』さんに会いに行きましょうか」
そして部屋から出たスノウが,一番始めに出会った男に言われた第一声がこれだ。
「俺の視界に入ってくるな雌」
スノウは思いっきり殴った。
後に,この時殴られたクルアルティーは語る。
あれは女の出せる力などではなく,鉄製の棒で殴られたような激痛だったと。
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