その日,彼らは重大な問題を抱えることになった。
レティサンスとゼロが一人の少女を連れて帰ってきたのだ。
少女は疲労により,深い眠りについていた。
一言も喋らないレティサンスと,「俺は何も知らない」と言うゼロ。
「外に捨ててこればいいだろ」
「それ,俺的にすげえ賛成」
無情なクルアルティーの言葉に,関わりを持つのを嫌うアパシーが続く。
「でも女の子を放っておくなんて可哀想だよ」
悲しみに満ちた声でイグノランスが言った。
「いや世間一般では,女の子は谷底に落としてこそ一人前と認められるんだぞ」
「そうなのかい,インサルト?」
「そこの能天気頭に,毎回毎回騙されるなイグノランス」
常識がないのを自分でも分かっているイグノランスは,まわりから「それが当たり前」と言われると簡単に信じてしまう。
それを分かっていてインサルトは,彼にしょっちゅう嘘を吹き込んでいる。
それを訂正してやるのが,インケイパブルの仕事化していた。
インケイパブルは,自分から進んで何かをすることはまずないのだが。
この7人の中では比較的にまともなため,仲裁やまとめ役な存在になっている。
「とりあえず,目を覚ますまではここにおいておく。後のことは,それから決める。それで,いいな?」
「僕はインケイパブルの言った通りでいいよ」
「…………(コクリ)」
基本的に何も考えていないゼロが真っ先に答え,レティサンスが頷いた。
「お人好しが…まあしょうがないな」
「俺は,ぜってえ関わらねえからな」
「それは,いい考えだよ」
クルアルティー,アパシー,イグノランスが続く。
最後にインサルトが茶化すように言った。
「ははあー。ひょっとしてインケイパブルは,ロリロリのコンコンか」
「……ほぉ,インサルトは地面とキスがしたいらしいな。希望通りにしてやる」
バキッ!!ボキッ!!
インケイパブルが指を鳴らすと,すかさずインサルトは脱兎のごとく逃げ出した。
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