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□契約恋愛
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エターナル女学院1年、ラクス・クライン、16歳。
わたくしは人生で初めて恋なるものを知りました!

それは今注目すべき男の子集めました特集でひとめぼれだった。


男性と話す機会が少なかったために手紙を書き彼に出した。
そして今か今かと来るのを待っている。
こつこつと背後から足音がやってくる。ずっとお話をしてみたかった、憧れだった。
「あの…君がこの手紙を出したの?」
心拍が一気に上がる。勇気を出してゆっくりと振り返った。
そしてそこには憧れのあの人が…あの…ひ…とが…
「あの、どちらさまですか?」
目の前にはずっと憧れていた人ではなく別の男性。
茶色のやわらかそうな髪の毛はぼさぼさ。お世辞でも普通とすらいえないダサいめがね。
きわめつけは不良が集まるといわれるヘリオポリス校の制服である。はっきり言って関わりたくないといっても過言ではない。
一体どういうことかなのだろうか。
「君、間違えて僕の机に入れてたよ?」
「そんな!確かにきちんと調べて…」
「あ、それはねー…」
*****
ボサボサ髪の彼はキラ・ヤマト君というらしい。さっき自己紹介された。
彼によるとわたくしたちが通っている塾で部屋替えがあり憧れの彼はべつの部屋に移動となった。
そしてそれを知らないわたくしはキラ・ヤマト君が座る席に手紙を入れたのだ。
恥ずかしく手紙に彼の名前を書いて差出人の名前は書かなかった。
キラ君から彼に渡すのをおかしいのでわざわざもってきてくれたらしい。
「本当にありがとうございました」
この手紙を発見してくれたのが彼でよかったかもしれない。ヘリオポリス校はガラが悪いと聞くがヤマト君はいい人そうだ。
「いいよ。ところでクラインさんは男の人に慣れてないの?」
「…はい?」
安堵したところにいきなりの質問。驚いて疑問形で返事してしまった。
「だって差出人の名前書かないのは変だし、手紙書くなんて今どきめずらしいよね!」
笑顔で男性経験がまったくないのをえぐりだしてくる。
しかも変だのなんだ直球だ。何か言い返すべきだと口を開くが上手に言葉がでてこない。
さらに慣れていない男性が相手のため余計あせりがつのる。
そんなわたくしに気づいているのかわからないがヤマト君がふんわり笑いかけてきた。


「ねぇ、男の人に慣れるために僕と仮で付き合ってみる?」



それがわたくしと彼の出会い。契約の始まりだった。                 

                     
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