Novel

□第二章
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「すいません。白瀬先輩いらっしゃいますか?」




昼休みに何時もの屋上でお昼を食べていると、綺麗な声が聞こえ、長い髪を右側で結った生徒が入ってきた。


「ああ、月見か。」



月見蒼音(ツキミアオト)は、生徒会の庶務を担当している優秀な1年生だが、常に人と一定の距離を置いているので生徒会の生徒以外と一緒にいるのを見たことがない。

蒼音君は、繊細で優しげな顔立ちをしてるのだが、表情を全く変えることが無い。
そんな顔を長く淡い亜麻色の髪で縁取った、人形のような印象を与える少年である。
また右目を隠すように伸ばされた髪が、より彼から人間らしさを奪っていた。


「蒼ちゃんがこっち来るん珍しいなぁ」

「安芸先生からの伝言がありますから」

「伝言って俺にか?」


安芸先生からの伝言と言う言葉に、生徒会長である朔夜が反応した。
蒼音君は少し考えてから、首を振る。


「・・・一応役員全員への伝言で、『役員は昼休みの内にに講堂に来い』だそうです」

「あの人は・・・俺等ん担任やのに、どうして蒼君にゆうんやろな?」

「4時間目が、安芸先生の授業だったので」


静が苦笑して言うのに対して、蒼音君は無表情のままだ。
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