2
□† 暑いんです!
1ページ/2ページ
今年の夏すっげー暑い・・・。
まだ6月入って少しなのに、真夏日だよこれ・・・。
じっとしてても汗だくになるよ・・なのに・・・。
「なんでくっついてるのあなたは?」
「あん?」
ベッドに横になってるツナの背中から抱きついていたシャマルが、めんどくさそーに声を出した。
『暑いんです!』
今日は土曜日。
折角の休みだから家で惰眠を貪ろうとしたら、あまりの暑さにそれを断念した。
そこで場所変えとばかりにシャマルの家に転がり込んだのだが・・・。
「まさかエアコンが壊れてるだなんて・・・」
「なんのことだよ?」
「いや、だから」
ガバッと起き上がりつつ、ツナが額に浮かんだ汗をぬぐった。
「暑いでしょ?」
「まーな」
「じゃあなんでくっつくのさ?」
「そりゃぁ・・なあ」
いきなり右手で頭を押さえられ、そのまま、またベッドに寝倒される。
そして今度は正面から抱きしめられた。
「なーっ!?あーつーいーってば!!」
「うるっせーなー・・・窓から風が入ってくるだろ−が」
「これ風じゃなくて熱風だよ!?」
「風にゃかわんねーだろ?」
それでもギャイギャイと文句を言ってると、抱きしめていた手がぱっと離された。
驚いて顔を上げると、
「うるさい」
いきなりくちづけで口を塞がれた。
「んーっ!んーー!!」
抵抗しようとしたが、既に手は押さえ込まれていて、なすがままに口中を嬲られる。
ツナの弱いところを知っているキスは強烈で、クチュクチュと音が洩れるたびに、ビクンビクンとツナの体が跳ね上がった。
数分後に開放されたとき、ツナは息も絶え絶えにぐったりとしていた。
「おとなしくなったかな、子猫ちゃん?」
「な・・・なに・・すんのさぁ・・・」
暑い中酸欠にされ、頭の中がボーっとする。
そんなツナをニヤニヤしながら、もう一度抱きしめた。
「おとなしくしてないと、もっと凄いことするぞ?」
「・・・」
その脅しが効いたのか、もはや抵抗する気力もないのか、ぐったりとツナはシャマルの腕の中に納まった。
髭面の男はだらしなく相好を崩しながら、抱く腕に力を込めた。
「・・・暑いよ−・・・」
「あーもう、しかたねーなぁ・・・」
呆れたように呟いて、シャマルは右手だけツナから離すと、なにやら枕元に手を伸ばして何かをイジッた。
ピッピッと、機械音が聞こえてきて、それからブオーッとコンプレッサーの回る音が低く響いた。
幾ばくも経たないうちに、冷たい風がひんやりと体を撫でていく。
あまりの心地好さに、ツナが小さく溜息を吐いた。
そしていきなりガバッと起き上がる。
驚愕と共に。
「ちょ・・っと待って・・シャマル?」
「ん?」
「・・・エアコン・・・壊れてるんじゃ?」
「ああ。あれ、嘘」
「はあ!?」
あっけらかんと言う目の前の髭に、ツナが思いっきり素っ頓狂な声をあげた。
「いやー俺、エアコンて苦手でさ。肩とか冷やすと痛くなっちゃうんだよね」
おじさんだから。
そして大声で笑ったりして。
「いやーでも、暑い中抱き合うってのもなかなか乙なもんだったろ?互いの汗が混ざり合うっていうの?またお前の汗が中学生特有の甘い良い匂いで・・あれ?おいツナどうした?」
気がつけば、俯いたままプルプルと体を震わせているツナを、ひょいっと覗き込む。
その顔面に、ツナの拳がめり込んだのは言うまでもない。
「このド・変態っっ!!///」
窓から差し込む日差しは強く、午後に差し掛かってもまだまだ暑くなりそうだった。
そんなある休日の昼下がり。
END