□† マイ・ボス・マイ・ヒロイン2
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「・・ねえそういえばさ」
「うむ?何だ雲雀?」
「・・なんでさっき、沢田は笹川だけ別に呼んだの?」

『了平さん!みんな!大好きだよっ!』

雲雀の出した問題提起に、場の空気が3℃程低くなった気がした。



『マイ・ボス・マイ・ヒロイン2』




「・・俺が奴の礼に答えたからだろう?」

呆れたように声を落としながら、了平は小さく溜息をついた。
その態度に、後ろめたさは微塵も感じられない。
しかし、

「たしかに・・礼には答えてましたね。了平さん個人的に」
「皆を代弁したまでだ」
「それに、十代目の御頭にも気安く手ぇ掛けてやがったな・・」
「たまたまだろうが」
「最近よく、沢田の執務室に篭ってるみたいだし?」
「この間の抗争の書類まとめだ」
「僕の情報によると、あの書類はすでに作成済みのはずですが?」
「不備が5箇所ほども見つかったのでな、作り直しなのだ」
「・・・笹川先輩。よもやリーダー自らが、協定違反してるんじゃないでしょうね?」
「ない」

ぴしゃりと言ってのける了平。
しかし一度向けられた疑惑の目はそう簡単には治まらず、微妙な緊張が部屋の中に立ち込めていた。

「お待たせーみんなーっ!・・・あれ?どうかしたの?」

その静寂を破ったのは、コーヒーメーカーを手に抱えた、能天気な話題の中心人物だった。



「ね。話はどこまで進んだんですか?」

こぽこぽとサイフォンの立てる音が、芳しい香りを部屋中に放っている。
それを楽しそうに見ながらツナは、隣に座っている了平に、無邪気な笑顔を向けた。
瞬間、ギンッ!と殺気にも似た気配を纏った、5つの視線が一斉に了平へ向けられる。
正直、あまり気分のいいものではない。

「・・・他のことに時間を取られてな・・。まだ大雑把なところしか決まっていない」
「他のこと?」

きょとんと呟いたツナに、即座に雲雀が声を掛けた。

「ねえ沢田?」
「はい?」
「どうしてそこに座ったの?」

指をさされて、ツナはきょろきょろと自分の席を見渡した。
円卓に並ぶ、ボンゴレ十代目守護者達。
その雨の守護者と、晴れの守護者の間にボスは座っていた。

「・・なんでって・・たまたまですよ?」
「たまたま・・ね。ねぇ皆どう思う?」

ツナの答えを面白くもなさそうに聞きながら、雲雀は周りをぐるりと見渡した。

「・・そうですね。たまたま偶然・・というのは信じ難いですね」
「へ?なにがさランボ?」
「ええたしかに。最近の綱吉君は了平さんとよくご一緒してますしね」
「え!?」
「お、俺は十代目を・・信じてるッス・・けど・・」
「ご、獄寺くん??」
「つまり、お前と笹川先輩は出来てるのかってことだよ」
「ふぇ!?」

あまりにも直球ストレートな山本の言い方に、思わず息を飲む綱吉。
さすがに見かねた了平が助け舟を出した。

「お前らそんなに沢田を責めるな。責めるなら俺を責めればよかろう」
「君じゃガード固くて埒があかないから、矛先を変えたんだよ」
「いやそれにしても言い方というものがな・・」
「なんスか?ツナの方責められたら都合悪いんスか?それとも、やっぱできてるんスか?」
「小学生の論理かそれは」
「おら芝生頭。はっきり言やぁ手足の2・3本と命で許してやる」
「殺す気満々だな、タコヘッド・・」
「電流で拷問・・」
「不穏すぎだ」
「面倒です。手っ取り早くボスに幻覚を・・」
「不敬すぎる。あー全く喧しいな貴様ら!!」

ぎゃーぎゃーといつもの如く取り留めなく言い合い始める面々。
しばらく俯いていたツナだったが、キッと顔を上げて皆に怒鳴った。
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