□† 相手はだーれだ?
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愛していると言われるよりも大好きと言われるのが好きだった。
前にそれを言ったら、子供だなってあっさりと笑われてしまった。
でもその後大きな手で頭をぐりぐりと撫でてくれた。
それが気持ちよくてもっととせがむと、やっぱり子供だと大笑いされた。
でもその手は、俺の言う通りに何度も何度も頭を撫でてくれた。
それから、大好きだぞって囁いてくれた。
何度も何度も囁いてくれた。
あなたのボスとどっちが好きって、ちょっと意地悪な質問をした。
やっぱりあなたは困った顔で悩んで悩んで・・・。
即答は期待してなかったけど、やっぱり俺って言って欲しくて、でも俺よりもボスって言われるのが怖くて、ごめんね冗談だよってはぐらかした。
そしたらあなたは、俺を体ごとその大きな手で包んでくれて、ごめんなって謝った。
その声が本当にすまなそうだったので、そんなこと無いよって慌てて言った。
それでも抱きしめる力は強いままで、ごめんなって何度も何度も言われて。
そのうち俺のほうが・・ごめんなさいって謝ってた。
何度も何度も。
意地悪してごめんなさい。ちょっとだけ我儘言いたかったんだって。
そうしたらあなたは、それでもごめんなって頭を撫でてくれた。
そしたらなんか涙が出てきて・・・ああ俺ってほんとに子供だなぁって思った。

「でもなツナ?」
「・・なぁに?」
「もしも俺が死ぬときがきたら、そのときは絶対にお前の傍で息をひきとるから、看取ってくれよ?」
「・・ばか。縁起でもない事言わないでよ」

ただでさえおじさんなんだから。
安心して。俺が大きくなって、あなたの老後は面倒見てあげるんだからね。
大船に乗った気でいなよ。
そう言うとあなたはまた大声で笑って、なら長生きしなきゃいけねーなって頭を撫でてくれた。
そうだよって答えてから上を向いて目を閉じた。
暫くして額に熱い感触。

「・・・またおでこぉ?」
「『額』って言葉さえわかんねー子供にゃ、これくらいで十分さ」

そう言ってあなたは大声で笑って、また頭をぐりぐりと撫でてくれた。
それが好き。
ゆっくりとあなたの胸に顔をうずめながら、こうして貰えるんなら・・・子供でもいいやって思った。
今少しの間は。



END

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