□† 懲りないヤツラ
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「今日ね、了平さんが夢の中に出てきたんですよー」
「・・・」


ソファに腰掛けながら、ツナは隣に座っている恋人を嬉しそうに見上げた。


『懲りないヤツラ』




「お?奇遇だな。俺もお前の夢を昨夜見たぞ?」

その目をみつめながら、破願して緑の髪の男がツナに答えた。
それを聞いたツナの顔がますます嬉しそうになった。

「え?え?ど、どんな夢だったんですか?」
「ほらこないだネズミーランドに行っただろ?あの時のな・・・」
「・・・」

嬉しそうに話す了平の夢の話に、ツナがうんうんと頷いた。
満面の笑顔で。

「あーあれ!そーですよー!あそこで了平さん、園の人に怒っちゃって・・・」
「そうは言うがな、あの列の並びは確かに俺たちのほうが・・・」
「・・・」

必死で説明する了平に、ツナが困ったように笑顔でなだめる。

「いいじゃないですか。結局俺たちすぐに乗れたんだし。それよりもあのゴーストの方が・・・」
「あーうむ!あそこは確かに納得がいかなかったな・・だが・・・」
「・・・君達」

掛けられた声をきれーに無視して、ツナが主張を続ける。

「でもあれって、少し人をおちょくりすぎじゃないですか!?」
「お前が怖がりすぎなだけだ。あの程度なら普通に対処できる」
「・・・ねぇ・・・」

ぴしゃりと言われてツナが、ムキになって言い募る。

「そんな事言って!了平さんだって、顔ひきつってたじゃないですか!!」
「そんな訳あるか!お前のフォローに一苦労だったんだぞ!?」
「・・・おい・・・」

いつのまにか言い合いに発展してしまい、ツナも了平もガタンと音を立てて、ソファから立ち上がっていた。

「俺だけ怖がってたんじゃないです!」
「いいやお前だけだ!!」
「・・・いい加減に」
『雲雀「さん」はどっちだと思う!?「いますか!?」』

言い切った二人が振り向いた先には、ここ応接室の主・雲雀恭弥が、ピクピクとこめかみを引きつらせて、噛み殺す前の笑顔を浮かべていた。

「・・・君ら・・・ここで噛み殺す!!」
「ぬお!?理不尽だぞ雲雀!少しは落ち着け!!」
「そうですよ雲雀さん!とりあえず落ち着いて、さっきの質問に答えてください!」
「落ち着けるかー!!そもそもなんで君らがここにいる!?」
「えー?」
「だって・・」

もはやギリギリの理性で保っている雲雀に、二人は顔を見合わせて答えた。

『ひまだから?』

ご丁寧に首を傾げた返答に、雲雀の堪忍袋の緒が音を立てて切れた。

「ならここで殺してやるよ!!」
「なにを!?理不尽にも程があるぞ、雲雀!?」
「やかましい!!」
「落ち着きましょうよ雲雀さん!とりあえず甘いものでも・・・」
「いるかっ!!てゆーかそれはここの備品だー!!」

遠慮なく振り回すトンファーを、ツナを庇いながら避けている了平。
その過程で、いわば必然にドガン、グシャンと音を立てて崩れていく家具類に、草壁が一人涙していた。



END

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