陰る明光の物語
□陰る明光の物語 四
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狼玉を返してはもらったものの、天武はそのまま屋敷に居着いていた。
今も庭で蝶々を追いかけ、元気に走り回っている。
天武曰わく、狼玉が元気になるまで一緒に模索していくつもりらしい。
猫又の翡翠によると、光に焦がれる山犬でありながら属性が無いため、エンレイや慈前守に害はないという。
屋敷にいても特に問題は無く、慈前守に続いて部屋の中はまた賑やかになった。
「…におう」
先ほどまで蝶々を追い回していた天武は足を止め、鼻を鳴らす。
縁側でおむすびを食べていたエンレイはそのことかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
「こっちだ!」
言いながら天武は尻尾を揺らして行ってしまった。
「おれもちょっと行ってくる!」
甘い三色団子に苦戦しながらも、しっかりと完食していった慈前守も天武を追いかけた。
縁側にぽつんと残されたエンレイも、翡翠に呼ばれて中に入っていった。
陰る明光の物語
〜新たなる闇〜
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