甘味屋さんと鈴
□第1話
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ここは四季の里。
普通の人と忍者が入り混じったこの里では、数多くの忍者達があくまで普通に暮らしていた。
忍者達は特別孤立しているわけでは無く、今では忍者の学校があるくらいで、里の安全を守っているのももちろん彼らである。
「おい裕、鈴。とっとと来ないか」
呆れたように言う父親の後ろには、何ともやる気の無さそうな双子の5歳児がゆっくりと歩いてきていた。
彼らは一応忍者の一族に生まれたもので、必然的に忍者になることが決定していた。
本人達に拒否権は無いものの、やる気が無いのは元からで、自身の実力が問われるのはまだこれからだ。
(…あいつら…本当に忍者になれんのか?)
入学したての5歳児に、父親はなかば不安そうに裕と鈴を見た。
髪をひとつに結い上げているのは兄の裕。
逆に短く切り揃えてあるのは妹の鈴。
ふたりの特技は揃って眠ること。
しかも、いつでもどこでも眠ってしまう、ある意味図太い性格の持ち主で。
「…とーちゃん、帰ったら将棋やろうぜ」
兄の裕のほうは、とんでもなく天才的な頭脳を持っていた。
(まぁ…ふたりとも人並みになれればそれでいいか…)
うんうん。
ひとりで納得しながら頷く父親は、波木一族のなかでもっとも能天気な性格である。
彼の双子の子ども達にやる気が見られないのは、もしかしたら能天気な父親のせいかも知れない。
まぁいいか。
(俺の自慢の子ども達だからな!!はっはっは!!)(………………。)
続く
忍者設定って好きです(*´ω`*)