天使の書庫
□またいつか…U
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深いく強い眠りの中で、身体に何かを感じた。
ゆらゆらと揺れている。
優しく、水面を漂っているように静かで、心地よい浮遊感。
目覚める前の、まどろみのような……。
心地よい眠りの誘いに抗えず、また眠ろうと思った。
少しずつ感覚がなくなっていく。
「―――」
何かが聞こえた。
落ちそうになった意識を、もう一度だけ持ち上げる。
けれど、幾分も経たぬうちに眠りに引きずり込まれていく。何か確認することもでできずに、また心地よいまどろみが体を包んだ。
何だったのだろう。
なぜか、心がきゅっと苦しくなった気がした。
しかし、その理由も分からない。
懐かしい響きに感じた。どこかで聞いたような。
誰かが、自分を呼んでいたような、そんな気がした。