黒執事
□笑う葬儀屋さん
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昔、ヨーロッパのとある国で、一人の少年がお店の前で泣いていました。
「どうしたんだい?」
神父様のような黒い服を来たお店の主人は、少年に尋ねました。
「ママが死んじゃったんだ。でも、僕の家にはお金がないから、お葬式ができないんだよ」
主人は数回頷くと、もう一度少年に尋ねました。
「お父さんはいないのかい?」
少年は涙ながらに答えます。
「パパはもうずっと前から帰ってこないんだ。だから、僕はどうしたらいいのかわからなくて…」
主人は屈んで少年と目線を合わせて、ニッコリと笑いました。
「君のお家へ小生を案内しておくれ。君のお母さんのお葬式をしよう」
涙をぬぐい、少年は驚きました。
よく見ると、お店の看板には主人の職業が書かれていました。
「小生は葬儀屋。君の母上に美しき最期をプレゼントしよう」
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