D R E A M
□ ストーリー
1ページ/5ページ
「先生、授業のことで質問があるんですが」
そう声をかけられて、その主の顔を確認すると
一度まわりを見渡して、ああ、自分に話しかけてるんだ、と確かめる
「…………ん?」
あれ、これ、綾芽くんだよね。綾芽くんて、双子とかじゃないよね。うん、ともゑくんと菫くんじゃあるまいし。じゃあ、何?私、もしかして少し前にタイムスリップしてる?デジャヴ?あ、夢?いやいや、やっぱり時空旅行……
じっと綾芽くんの顔を見つめながら、ほんの3秒ほどの間にこんなことが頭の中をかけめぐった。
「先生?どうしたんですか?」
「えっ。あ、うん、えーと、なんだっけ」
「授業のことで」
じいっと綾芽くんの顔を凝視する。
眉間にシワでも寄ってると思う。
「あの、何か」
「…綾芽くん、ですよね」
「はぁ」
確かに綾芽くんだし
間違えるわけないし
「綾芽くん、今日は、何月何日でしょうか」
「…7月10日ですけど」
うん、タイムスリップでもないや。
「で、さっきの授業の」
「はっ!記憶喪失!?」
もしかしたら断片的な記憶喪失かもしれない!
「綾芽くん、大丈夫!?おとといの晩ご飯、言える!?」
「……何言ってるんですか?先生」
.