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□あなたの世界に私は一緒に居れますか?
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突然服の裾を掴まれコジロウは不思議そうに振り向く。
「どうしたんだ、ムサシ?」
「えっ、あっ、その…………。」
コジロウに見られて下を向いてしまう。
(えっ!私、何をやってるの?)
自分でもよく分からない。
そんな彼女が出した答えは。
「えと、その、ホットケーキにかけるソースも持ってきて。」
我ながら良い誤魔化し方だと思った。
「ムサシ………………。」
するとコジロウが真面目な顔でムサシを見る。
そして肩に手を置く。
(えっ!何!)
「ムサシ………………。」
「/////////////////」
「ホットケーキはソースじゃない。
それはお好み焼きだから。」
「ヘッ?」
甘い空気は一気にギャグ的な物に変わる。
「何言ってるのよ!ホットケーキにはソースでしょう!
そんでもって青のりをブワッと!」
「だ・か・ら!それはお好み焼きにやるの!
ホットケーキはメープルシロップやバターなの!
ムサシも前に食べたら美味しいって言ってただろう?」
「でも、やっぱりソースよ!
この前はあんたの食べ方に合わせたんだから今回は私に合わせてよ!」
「ウッ…………言われてみれば………。」
ムサシの迫力に押されてきた。
「コジロウ、負けちゃ駄目ニャ。
ホットケーキはニャー達の晩御飯だから!」
「マネネ〜。」
「ハッ!そうだ!
ムサシ、頼む!マネネと初のホットケーキ。
美味しく一緒に食べたいんだ。」
「…………………美味しく…………私のホットケーキが………私が食べてきた物が………不味いと言うの。」
「!!!!!!!!!!!」
急にムサシの声が震える。
はっ!と見ると瞳が揺れてる。
更に周りからトドメの声が聞こえる。
‘あの二人、喧嘩始めたわよ。’
‘よく分からないけど意見が食い違ったみたいよ。’
‘私の経験だとああいう価値観が違うのは長く続かないわね。’
「!!!!!!!!!!!」
最後の言葉はムサシの顔色を変えた。
そしてそのまま走ってスーパーを出ていってしまった。
「…………………………………………ムサシ!」
慌てて追いかける。
ニャースもマネネを連れて慌てて後を追う。
二匹は買いカゴをかなり気にしていたようだが。
コジロウがスーパーを飛び出した時にはムサシはかなり先に居た。
しかし猛スピードで距離を縮める。
「はあ〜………はあ〜………ムサ……。」
何とか追い付く。
そしてムサシの手首を掴もうと手を伸ばす。
「……………………………。」
「ソーラービームですわ。」
『えっ!』
突然聞こえた女性の声。
聞き覚えのある声に追う者も追われる者も自分達の状況を忘れて足を止めてしまう。
そして次の瞬間二人の間にソーラービームが通り二人は引き離されてしまった。