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コジロウは、当主として相応しい振る舞いをする。
コジロウは多くの人に挨拶する。
「これは、コジロウぼっちゃま。」
「お久しぶりです。
でも、ぼっちゃまと呼ばれるのは照れますね。」
「すみません。つい昔のくせで。
そうですよね。コジロウ様はもうすぐ結婚されるんですよね。」
「いや、それは……。」
「んっ?
コジロウ様には昔から婚約者が居ると伺いましたが。」
「そうなんですが。
まだ私は、未熟ですので。
彼女を支えられるようになるまでは。」
「成る程。ご立派な考えです。」
そんな感じで彼は礼儀正しく全員の相手をした。
そしてパーティーが終わり誰もがコジロウを誉めて帰って行った。
執事やスタッフを除き屋敷には誰も居なくなる。
コジロウは誰も居ないバルコニーに出る。
手すりに寄りかかり外の景色を見つめる。
「はぁっ。」
一人になったせいなのか?
さっきまでずっと微笑んでいた口からため息がこぼれる。
自分でもそれに気づいたのかネクタイを緩める。
しかしそれで解決出来る物では無かった。
彼の口からはその豪華な生活からは想像出来ない言葉がこぼれる。
「……………………退屈だ。」
そう言う瞳に力が無かった。