図書館
□彼女の笑顔が見たいから。
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ようやく本部にたどり着く。
「まずはバイパー教官に挨拶しないと………」
「あ〜ら、そこにいらっしゃるのは♪」
その時だった。聞いた事のある声が聞こえる。
「………………ヤマト」
「後、コサンジ」
「コサブロウだ!それと、ついでみたく言うな!」
「何であんた達が居るのよ?」
「私達はバイパー教官からトップワンの人間として今日のイベントに招待されたのよ!」
「あ〜ら!偶然!私達も同じよ!」
「はん!落ちこぼれのあんた達がトップワンだったのが驚きね!
後輩達にしっかり教育出来るの!?」
「悪いけど訓練所の時は私の方が上だし今でもそのつもりよ」
「それは違う!昔も今も私が上よ!」
かつてのライバルは今でもライバルのようだ。
そんな彼女達をそれぞれの相棒は呆れながら見る。
「そっちも相変わらずだな」
「ああ。
……………いや、ちょっと違うかも」
「えっ?」
「俺はお前がムサシと組む前から知ってるけど………あの頃はヤマトが喧嘩をふっかけてもムサシは返しはしたけどあんな風に反応は………」
「…………………………」
「本当にムサシは変わった。
それはヤマトも言ってる。‘今は別の意味で目を離せない’って。
……………………まあ、それがトップワンと言えるかとは別だけどな」
皮肉な笑みを浮かべるコサブロウ。
「ああ、そうかもな。
でも…………変わったのはムサシだけで無い」
他人から見ても変化に気づいてくれたかと思うと正直嬉しい。
しかし次の一言が事態を意外な方向に導く。
「誰も気づかないだろうな。あれが昔は噂高い死神ムサシだったとはな」
『…………………………………』
「んっ?」
急に空気が重くなるのを感じる。
それはニャースとコサブロウも同じようだ。
慌てて周りを見ると訓練生がこっちを見ている。
しかも彼らは‘ムサシ’を見ていた。
ムサシ自身は喧嘩に夢中で気づかない。
死神ムサシに反応したのか?
(でも何と言うのだろう。
当時も、たしかにムサシを見ればみんな、同じ様な反応をしたけど………でもそれにしては空気が……………嫌な予感がする)
そしてその嫌な予感が現実の物になるのに時間はかからなかった。