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□瞳に映っているのは?
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コジロウは恐る恐る記憶の中の女性の名を呼ぶ。
「もしかして…………………ローズさん」
「あっ、すみません…………顔、見えなかったですよね」
コジロウから離れる。
そして優しい笑顔をニコッと浮かべて挨拶する。
「驚かせてしまって申し訳ありません。
嬉しくてつい…………迷惑でしたよね?」
「いえ、突然で本当に驚いて。
その……………お久しぶりです」
「お久しぶりです。
…………………お元気ですか?」
「あ、はい。
ローズさんは?
あっ、それよりも…………何でここに?」
「ちょっと用事で…………そしたらコジロウさんを見かけて…………運命を感じてしまい………嬉しくてつい…………。
あっ、さっき言いましたよね」
そのままお互い顔を赤くしてうつむき喋らなくなってしまう。
「えっ、コジロウ先輩とあの女性…………」
この様子にローズを知らないモンドは驚きを隠せない。
とは言え二人の間の空気を見れば察しはつく。
「ニャース師匠……………あの人はもしかして………コジロウ先輩の………」
「ニャー…………ちょっとおしいニャ。
よくある使い回しで言えば
‘二人の気持ちは同じだった。
しかしお互いの思いが分かる前に二人は引き裂かれてしまった’と言う感じかニャ?」
「………………………コジロウ先輩にそんな人が…………」
そう言いふとムサシの顔を見る。
「あっ……………………」
彼女がコジロウを見る目はいつものように仲間を見る目付きとは違った。
モンドは気づく。彼女の気持ちを。
いや、前から気づいていた気持ちが確信に変わる。
しかしモンドがムサシに声をかける前にローズがこっちに来る。
「お久しぶりです。ムサシさん。ニャースさん。
あの時は本当に村を救ってありがとうございます」
「ニャ〜、あんまりニャー達はニャにもしてなかったけど……」
「いえ、みなさんのおかげです。
良かった♪あの時お礼を言えなかったから今言えて♪」
笑顔で言う女性を見てモンドはローズの純粋さが分かる。
それはコジロウが時々見せる人の良さに通じる物を感じた。
「あら?こちらの方は前にいらっしゃらなかったですね?」
「あっ、僕は……………」
「こいつはニャー達の後輩のモンドだな」
「まあ、後輩さん♪それでは、あれからも人助けをなさっているんですね♪」
「人助け?」
「あっ!私ったら長々と。
コジロウさん達が正義のお仕事で忙しいのに邪魔してはいけないですね。
私、帰ります」
言い方は普通だがその表情は寂しそう。
「コジロウさん。これからも頑張ってください。
コジロウさんは私にとって…………その………天使のようで……………それで…………」
「ローズさん………」
もはや二人は永遠に会えない恋人のよう。
すると今まで喋らなかった人間が間に入る。
「あっ!言い忘れてた!」
「!!!!!!!!………ムサシ、急に大声出してどうしたんだ?」
「今日は休日!」
「えっ?」
「だから〜!今日は休日!
だから二人とも今日はゆっくり話しなさい。ねっ♪」
コジロウとローズの肩に手を置きウィンクをする。
「……………………ムサシ」
「……………………ムサシさん」
「さあ♪私達は私達で今日はノンビリと………」
「あ、あの!」
今度はモンドが間に入ってくる。
「モンドちゃん?」
「その遊園地のチケット、コジロウ先輩達も一緒に行くと思って四枚用意したんですよ」
「えっ、俺達の分まで………」
「だから四人で行きましょうよ♪」
モンドが笑顔で言ったのを他のメンバーはただ驚き見ていた。