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□時と心の繋がり
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(心の声が聞こえる!)

「そう!産まれた時からこの力を持っていてな」

(私の心の声も全て聞こえるの?)

「全部って訳じゃない。
心の表層部分しか読めないからな。
だから気を悪くしないで欲しいんだ」

(何で?)

「えっ?」

(素敵な力じゃない。
話さなくても自分の気持ちが分かってくれるなんて…)

「そういえばムサシ、昨日から声聞いてないけど……
もしかして話せないのか?」


ムサシは目を横に反らすが答える。


(ええ。事情があってね。
話し方も笑い方も忘れたわ。
その上不思議な力を使えるせいで誰も私に近寄らない)


気づくとコジロウが泣いていた。


(コジロウ?)

「そんなの悲しいすぎるよ。忘れたなんて。
よし、決めた!」

(な、何を?)

「俺、手伝うよ。
話し方も笑い方も全て思い出せるように…」

(無理よ!)

「そんなのやってみないと分からない。
思い出すまで俺がお前の代わりに心の声を話してやるよ」

(……………ありがとう…)


すると誰かが来る足音が聞こえた。


コジロウは慌ててムサシから離れる。


「また明日来るから。じゃーな。
行くぞ、モンド」


二人は走って行ってしまった。


二人が消えると同時に誰かが現れる。


「あら?ムサちゃんじゃない♪
何やってるの?」


それはこの家の当主ハーリーだった。


「食べ物なんか持っているけど……
誰かいたの?」


ムサシは首を横に振る。


「それならいいんだけど。
仕事を頼みたいの。戻ってきてくれる?」


ムサシは頷き急いで戻る。


その後ろ姿をハーリーは冷たい目で見ていた。


「誰といようとあなたの自由。
でも私から逃げれない事を忘れないでね、ムサちゃん♪」
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