図書館

□仮面の魔法使い
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二人は庭に出てベンチに座る。

コジロウはバレないように声色と話し方を変えて話しかける。

「靴ズレ大丈夫ですか?」

「………ちょっと……痛い」

「見せてください」


ムサシの足を見て手当てをする。


しかし気まずい雰囲気が流れる。


コジロウは耐えられなくなり話しかける。


「その衣装…姫のつもりなんですか?」

「ええ…まあ…」

「お似合いですよ」

「あ、ありがとう」


ムサシは少し顔を赤くして答える。


気を許したのか今度はムサシから話しかける。


「何で私に声をかけたの?」

「えっ?」

「ちょっと前から見ていたけど声をかけていた女の子全員断っていたから」

「それは………あなたが元気が無くて心配だったから」


「……………」

「あっ、何かまずい事言った?」

「いえ、別に。
それよりあんた…」

(何だ!もしかして正体バレたとか!
当たり前だよな!こんだけ話しているんだから)

「もしかしてそれ‘魔法使い エルファン’のコスプレじゃない」

「はい?」

「絶対そうでしょう。
私、昔絵本で読んだ事あるもの」

(いや、怪盗のつもりなんだけど…
っていうか、今回コスプレじゃなくて仮装のはずじゃ)


しかしムサシの期待に満ちた目を見ていると否定出来ない気がした。


「………はい、そうです」

「やっぱり!私も好きなのよね!
‘エルファン’は何でも叶えてくれる凄い魔法使いなのよね」

「はあ〜」

(よく分からないけど元気が出たようだからいいか)
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