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□海にある宝
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朝、起きたらコジロウはいなくなっていた。

「ムサシ、あの人にお別れ言わなくていいの」

「でも、私は海賊を許す事が出来ない…」

(やっぱりあの人でもムサシの心の傷を癒す事はできなかった)

その時、島の若い男が家に入ってきた。

「ピナちゃん、ムサシちゃん。逃げて!
海賊が…」

急に倒れる。肩からは血が出ていた。
その後ろには体格のいい男が立っていた。

「海賊アクア団の船長、ファントムだ」

「あの賞金首の…」

「アクア団…ファントム…」
ムサシの目の色が変わる

「この島に来たけど何も無い。だから女でも頂いて行こうと思ってな。
ここに上玉が二人もいるじゃないか」

部下に命令して二人を捕まえる。

しかしムサシが動き始める。
ムサシはナイフを取りだしファントムに向かう。

しかしファントムはナイフを叩き落とすとムサシの腕を掴み後ろに捻った。

「抵抗は無駄だ」

するとムサシはファントムを睨み
「あんたが私の両親を…
忘れもしない。あの時、私の両親を殺したのはあんたよ」
その目は怒りと憎しみに溢れていた。

「何人も殺してきたから覚えてないね」

「覚えてないなら教えてあげる」

「ムサシ、言っちゃ駄目!」

「私の両親はマーメイド島で突然来たあんたに殺されたのよ」

「マーメイド島…
そうか、お前。あの時の生き残りか。
これはいい」

部下に目配せする。
部下はピナに当て身を喰らわせ気絶させた。

「ピナさん!」

「今回彼女を連れて行くのは止めてやろう。
お前がおとなしくついてくれば手荒な真似はしない。
しかし抵抗するなら…」

ピナの近くにいる男がナイフをちらつかせる。

「わ、分かったわよ」


その頃コジロウはイカダで海に出ようとしていた

「結局ムサシと仲良くなれなかったな。
まあ、そういう人達には何回も会ってるし、よくある事だ」

でも今回はいつも以上に気になる。あいつの苦しそうな顔が離れない。

「笑顔見てみたかったな」

すると子供達がこっちに来る。

「お前ら、見送りに…」

「違うよ。ムサシ姉ちゃんが大変なんだよ」

「ムサシが!」

戻るとピナが気絶しており起こすと全てを説明してくれた。

「そいつがムサシの両親を…」

「お願い。あの娘を助けて!」

「分かってます。
海賊は恩を仇では返しません。
ムサシ、待ってろよ」
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