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□コジロウの不思議な一日
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「大丈夫か?」
コジロウは女の子に手を伸ばす。
女の子が顔を上げた。
その顔は…………。
「ム、ムサシ!」
二つに結ばれた紅い髪、気の強さを表すブルーの瞳。
子供というのを除けばそれは、ムサシだった。
子供のムサシはコジロウを不審そうに見つめる。
「何で私の名前を知っているの?」
「そ、そ、それは、ほら…あの男の子が君の名前を呼んでたから…」
「ふ〜ん」
どうやら誤魔化せたようだ。
「それにしてもあの男の子は何で君にあんな意地悪を?」
ムサシは顔を伏せる。
「私がよそ者だから」
その一言でコジロウは全てを理解した。
ムサシは立ち上がる。
「私行くね」
しかし一歩踏み出すと同時に足元がふらつく。
「痛っつー」
よく見ると膝から血が出ている。