図書館

□鏡の向こうの自分
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ムサシを探す。しかし簡単には見つからない。


「こんな暗い森の中、何かあったらどうするんだよ?」


そしてさっきの事を思い出す。


(だってあんな悪夢を見た後じゃ…………あんなに怒らなくても。というかムサシは何であんなに怒って?)


その時だった。後ろで草むらが動く音がする。


「ムサシか?それともニャース?」


しかし振り向いて言葉を失う。


「………………………………」


‘それ’は地面から現れた。コジロウはそのポケモンを知ってる。
何故ならこの前までそのポケモンをダシにして大儲けしようとしていたから。


「…………………………ダークライ」


暗黒ポケモンのダークライだ。細い目でコジロウを見ている。
コジロウは動けない。


(何か睨んでる気も。
もしかしてダークライの名前を勝手に語って偽クレセリアの羽で儲けた事を怒って………)


青ざめた顔で弁解する。


「ま、待ってくれ!そりゃ悪いとは思ったけど…………」


しかしコジロウの言葉が届くはずが無い。
ダークライは突然手で黒い物質を作ったと思うとコジロウに投げつける。


「ウッ……………」


コジロウは避けれず当たる。すると急に眠気が襲ってきた。


「…………………やな…………感じ」


そのまま地面に崩れる。倒れる直前コジロウの意識は深い闇に落ちていった。













「………………………………はっ!」


コジロウが目を開ける。

「……………………あれ?今、俺、ダークライの………。
……………………ここはどこだ?」


そこは真っ暗な世界。だが真っ暗なのに歪んでいる感覚がして気分が悪くなる。


「早くここから。ニャース!ムサシ!
どこにいるんだ?」


そう叫びながら歩く。しかし返事が無い。


「どうす…………………痛っ!」


暗闇の中何かにぶつかる。コジロウは手探りで何か考える。


「これは……………………鏡?」


コジロウの身長の何倍かもあるような鏡。
目の前に自分の姿が写しだされる。


「何で今まで気づかなかったんだろう?」


その時だった。


‘…………………………フッ’

「!!!!!!!!!!!」


突然鏡の中の自分が笑った。それは何故か人を小馬鹿にした笑み。
コジロウは驚き後退りしようとする。


しかしその前に鏡にヒビが入り割れる。
そして同時にコジロウは鏡の中の深い闇の中に落ちていった。
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