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□鏡の向こうの自分
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そして何とか振りきる事に成功したようだ。


「疲れたニャ!もう寝るニャ!」

「そうね。今日は良い夢見たいわ。
この前のように悪夢はこりごり」


三人の頭の中に悪夢装置を作った事を思い出す。


(あの時は最悪だったよな。
………………………集めていた王冠が突然消える夢。辛かった〜。
ニャースも‘ボス〜’でムサシは‘食べ物が〜’と騒いでいたっけ)


ふと、そんな考え事をしてムサシ達を見るとお休み三秒。あっと言う間に寝息が聞こえる。


「早っ!」


しかし必要以上に責めずに何事も無かったかのように振る舞ってくれる彼らの存在がコジロウにとって嬉しい。


「………………今日はありがとうな。
俺はこの仲間に会えて本当に幸せだ」


ムサシの顔を見る。


「う〜ん、改めて見ると似てるような………そうで無いような。
だって寝顔がこんなに可愛いと思うのは………俺はムサシの事………」


そこで自分が何を言いかけているのか気づき慌てて止める。


「こんな事言う必要無いな。
…………………………おやすみなさい」


そう言い彼も眠りにつく。













そして夢を見た。ルミカに追いかけられる夢。


「うっ、く、来るな…………止め……………うわっ!」


苦しげに呟いた後、目を覚ます。

「はあー、はあー………」

「ちょっと、コジロウ。どうしたの?」


コジロウがうなされているのに気づきムサシが心配そうに見ている。


「…………………コジ………」

「うわっ!来るな!」


しかしコジロウは混乱してしまいルミカと間違えムサシを拒絶する。


「コジロウ!落ち着くニャ!」


気づけばニャースも起きていたようでコジロウを落ち着かせる。
徐々にコジロウも冷静さを取り戻す。


「………………………あ、あれ?ニャース?
そっか…………今の夢だったんだ。
怖かった〜。あの時も最悪だったけど今回の悪夢がよっぽど。
ムサシの言う通り、悪夢はこり…………」


そこでムサシが下を向き黙っているのに気づく。


「………………ムサシ、どうした?
まさかお前も悪夢を…………」


心配になり手を伸ばす。しかしその手をムサシは払い退ける。


「…………………………ムサシ」

「何が悪夢よ?夢に出るって事は気になるんじゃない?」

「えっ、何を?」

「コジロウなんて大嫌い!助けるんじゃ無かった!」


ムサシはそう言うと走って外に飛び出す。
コジロウは最初分からず呆然としていたがニャースに促され慌てて追いかけ始めた。
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