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□鏡の向こうの自分
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ここはミオシティ。その日ロケット団は必死になって走っていた。何かから逃げるように。
「死ぬ気で走るぞ!」
「え〜、もう良いじゃない」
「甘い!甘すぎる!あいつを振りきる為にはもっと必死にならないと!」
「だって関係あるの、コジロウだけじゃない。
あの‘ルミカ’と言う女、あんたの婚約者でしょう?」
そう。今彼らはルミカから逃げているのだ。
バカンスで来ていたルミカに出会ってしまったのだ。
「止めてくれ!その名前に婚約者と言う単語。
寒気がする。ジンマシンが!」
「何もそんなに拒絶反応しなくても………」
「いや、あれは凄まじかったニャ。
ムチを振り回し追い詰めラフレシアの痺れ粉で体の自由を奪い、そして婚姻の儀式と言い顔を近づけ……………」
「言うな!ようやくカントーでの傷が癒えたのに!」
「まあ、未遂だから良かったじゃない」
ムサシが他人事の様に話す。
「………………………ムサシ、コメントそれだけか?」
「んっ、何で?」
「…………………別に」
コジロウは残念そうに話す。
すると知ってか知らずかニャースがフォローに入る。
「そういう割りには必死で助けていたニャ♪」
「ち、違うわよ。こいつが私の名前を呼んで助けを求めるから。
それにあのヘチャムクレ顔を困らせたかったのよ!」
「だから…………自分と同じ顔の女の子にそんな事」
「似てない!
………………んっ、コジロウ。何でにやけてるのよ!?」
「い、いや…………さっきはドタバタしていて実感分からなかったけど助けに来てくれて嬉しいな、と。
ムサシ、ニャース。助けに来てくれてありがとう」
「今さら真顔で言わなくていいわよ!馬鹿!
私はあんたの婚約者なんて別に興味は…………。
ただ………嫌なのは通じたから……何となく………」
ムサシはソッポを向きながら話す。その顔は若干赤い。
しかしコジロウを助けた事実は変わらないがルミカに興味無いのは長い付き合いで分かる。
(俺的にはちょっとヤキモチ妬いて欲しい気もしたけど。
でも今はこのままでもいいかな)