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□すべての人に捧げる愛〜アベ・マリア〜
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そして数分後、ムサシは可愛らしくクリスマス包装された品物を持ち町を歩く。


「……………………はあー!産まれて初めて下らない事で自己嫌悪に陥った気がする。
だってあの馬鹿が脳内で笑うから。
…………………何でだろう?それなのに心が暖かい」


もし仮にムサシの昔を知っている人物が彼女を見たら驚く程、今のムサシは優しく微笑んでいた。


(あれ?何か色々気になり始めてきた。
コジロウ、貰ったら何て言うんだろう?
まあ、あいつの事だから予想は。きっと…………)

「うわぁ♪嬉しいよ♪ありがとう♪」

「えっ!!!!」


急にコジロウの声が聞こえた。そっちを見て驚く。
それと同時に高まった気持ちが冷めてしまうのを感じる。


「本当に貰って良いのか、ジャリガール?」


そう。コジロウの相手はムサシ達が敵と認識し狙っているピカチュウのトレーナーと一緒に旅をしている可愛くムサシと同じくトップコーディネーターを目指す女の子、ヒカリだった。


「大丈夫♪むしろ貰って欲しいの」

「そうか。ありがとう♪」


コジロウが先程ムサシの頭の中で描いていた笑顔をヒカリに向ける。


‘ズキリ!’


その途端ムサシの胸が痛む。


(何?この突き刺すような痛みは?)


そう思いヒカリを見る。ヒカリも嬉しそうに笑い返している。
あの歳の女の子には当たり前の無邪気な笑顔。


(あれがプレゼントをあげた側の喜びの笑み。
そしてコジロウの笑顔は貰った側の喜びの笑み)


気づかない内に品物を抱えている手が震えていた。
ムサシはひたすら二人を見続ける。


しばらくしてヒカリがコジロウに手を振り別れを告げ去って行った。
コジロウはヒカリの背中が消えるまで見守り続ける。
そして消えると安心した顔で振り返る。
そして様子を見続けたムサシと目が合ってしまう。
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