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□姫と従者
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コジロウはムサシの部屋の前に立つ。
もう一度深呼吸するとドアを叩き中に入る。
「失礼します、姫」
中に入るとムサシがベッドに突っ伏していた。
声を聞きコジロウの方を見る。
その顔は泣いた跡があったが涙は見せない。
コジロウも気付かないフリをして話しを進める。
「モンドやニャースが待っています。
行かれないのですか?それなら……」
「聞いたんでしょう」
一瞬怯むがすぐに普通に話す。
「はい、聞きました」
「どう思うの?」
「えっ……」
「コジロウはどう思っているの?」
「そ、それは……おめでたい事だと思います」
ムサシがショックそうな顔をする。
普段のコジロウなら気付くが今は視線を反らしてしまい気付かない。
「俺はただ王様や姫の命令に従いながら姫の幸せを守るのが使命」
「私が幸せだと思っているの!」
ムサシの怒鳴り声がしたと思ったら殴られる。
顔を戻すとムサシは泣いていた。
「コジロウなんて大嫌い!」
そう言うとムサシは部屋から出ていく。
コジロウは殴られた頬を押さえながら悔しそうな顔で立っていた。