図書館

□姫と従者
3ページ/13ページ

コジロウが用事が終わったかを確認する為にムサシを探す。


「姫をお探しなら無駄よ」

「えっ……。
ああ、ヤマトさん」


それはムサシの家庭教師のヤマトだった。
何故かムサシと仲が悪い。


「どういう意味ですか?」

「ムサシなら部屋にいるわよ」

「もしかして具合いが悪いとか。
なら姫の体調管理も俺の役目」

「違うわよ。落ち着いて聞きなさい。
姫様はね結婚するの」


雷に打たれたような衝撃が体を走る。
しかし顔に出さないように必死に尋ねる。


「どういう意味ですか?」

「言ったまんまよ。あの娘は隣の国の王子様と結婚するんですって」

「そんなの聞いてない」


少し言葉遣いが荒くなる。


「今さっき決まったのよ。
王子様が話を持ってきたら王様は乗り気でね」

「それじゃ……ムサシの意思は……」

「関係無いわね」


コジロウは震えが止まらない。
しかし一回深呼吸をさせて言う。


「俺は国に遣える身。何も口出しせずにムサシを見守る。
教えてくれてありがとう」


軽く会釈をすると去っていく。


「途中からしゃべり方も変わり姫では無くムサシになっていた。
本人は気付いてないけど……」


ヤマトは心配そうにその背中を見守る。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ