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□姫と従者
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その時だった。一人の人間が現れ声をかける。
「姫、ワガママはいけませんよ」
「……………コジロウ!」
「そうだ♪王様の用事が終わったら特別に町に買い物行きましょう♪」
コジロウは人の良い顔で笑う。
「……………分かったわよ。
ただし何か美味しい物も食べたい」
「かしこまりました」
コジロウはニコッと笑う。
ムサシ姫はそのまま城の中に戻っていく。
するとモンドが尊敬した目でコジロウを見る。
「さすがムサシ姫の従者です」
「コジロウの家系は代々この城を守る使命を持っているのニャ」
「そう。いざとなったらこの命を国の為に滅ぼす覚悟」
「たしかムサシ姫を小さい頃からずっと側で守っているんでしたよね。
凄いです。
僕なんてまだまだ……」
するとコジロウがモンドの肩に手を置く。
「何言ってるんだ。その若さで世話係やってればたいしたものだ。
お前らも買い物一緒に行くか?大勢の方が姫も楽しいだろう」
「行くニャ♪やったニャ♪」
コジロウは決して偉そうにせず誰にでも優しく接する。彼もまた城の人間からも国の人間からも好かれていた。
「それに俺にだって出来ない事はある」
聞こえないように呟く。その目は少し寂しそうだ。
しかし彼らは知らなかった。ショッピングが出来ない事を。