図書館

□瞳に映っているのは?
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青春。




それは青い春と書く。




そして青春にも色々な種類がある。




悪事を働く大人の彼らにはどんな青春が待っているのだろう?






それは彼女の一言から始まった。


「青春をしたい」

『えっ?』


彼女の相棒と仲間のポケモンは理解出来ない顔。

とはいえ、彼女が突然変な話題を言い出す事には慣れている。


「どうしたニャ、突然?」

「だって〜。毎日ピカチュウゲットしている変わらない日々。
この日常と言う感じに囚われ………何と言うか………キラキラしていた自分を忘れそう!」

「キラキラかニャ?」

「そうよ!訓練所時代を思い出して!
毎日を必死に頑張り燃えていたじゃない!」

「たしかにそうニャ。
ニャらピカチュウゲットに燃えれば………」

「だ〜から!日常的過ぎて駄目なの!
こ〜う!その……甘酸っぱい感じを…………」

「例えば?」

「う〜ん…………コジロウ!」

「えっ!俺!」


黙って聞いてたのに突然振られて驚く。


「う〜ん。夕日に向かって走るとか。
四葉のクローバーをみんなで探すとか?」

「古っ!」

「……………じゃー、恋愛とか」


そう言いながらムサシの顔をちらりと見る。




「…………………恋愛………」




そして、彼女の反応は。


「たしかにあのお子様のジャリンコ達も甘酸っぱい感じの瞬間があるわよね。
そうよ♪ドキドキするような恋を最近してないわ♪」


真面目な顔で大ハシャギ。
目の前の男性がへこんでるのも知らないで。




そして大ハシャギの彼女の言葉を遮るように車のクラクションの音が聞こえる。

乗っていたのは彼らがよく知ってる後輩。


「先輩方♪こんにちは♪」

「モンドちゃん♪いらっしゃい♪」


それで青春をテーマにしたトークは終了。
コジロウも気を取り直しモンドの所に行く。


「どうしたんだ?」

「今日はニャにも頼んで無いニャ」

「はい♪僕からの個人的な用事が………」


そう言うとポケットから何かのチケットを出す。


「実は、これ……………」

「ニャ………これはシンオウに最近出来たと言う遊園地の………」

「キャー!モンドちゃん!」


突然悲鳴をあげたと思ったらムサシがモンドに抱きつく。


「これ前に二人でお茶した時に私が行きたいって言ってた遊園地でしょう♪
ありがとう♪」

「先輩………その……」

「二人でお茶したんだ………」


真っ赤になってる後輩を見ながらコジロウはつまらなそうに見る。


(何だよ………本人が自覚無いだけで青春っぽい恋愛してんじゃん……)





しかしそんな彼にも新たな青春が。


「………………………コジロウさん」


コジロウは名前を呼ばれ振り向く。

しかし相手を認識する前にその人物はコジロウに抱きついた。


「えっ!」

「あっ!」

「ニャッ!」

「あれは……………」


全員突然の事態に驚き唖然としてしまう。
もちろん抱きつかれた本人も。


「えっ、あっ、その……………」

「お久しぶりです、コジロウさん」

「えっ!」


聞き覚えのある女性の声。

そして彼の事をさんづけで呼ぶ人物はそんなに居ない。

そして顔はコジロウに抱きついてるせいで見えないが栗色の髪を見てモンド以外は彼女の正体を思い出す。





スケット団の事件の時に出会った彼女を。
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