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□仮面の魔法使い
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『やな感じ〜』


いつも通りに飛ばされるロケット団。


そしていつも通り地面に墜落。


「痛いニャ」

「今日もボロボロだな」

「後ちょっとでピカチュウゲットだったのに〜」


ここまではいつも通りと変わらなかった。


しかし次のムサシの一言でいつもとは違う展開になってしまった。


「今回はマネネをバトルに出さないのがいけなかったのよ。
‘モノマネ’を使えば勝てたのに!」

「だって俺の可愛いマネネをあんな危険な作戦に参加させる訳にはいかないよ」


マネネを大切そうに抱きしめる。


それはムサシの怒りを刺激した。


「ムカッ………前から思っていたけどコジロウってポケモンに過保護なのよね」


ムサシのトゲのある言い方にコジロウも怒りを覚える。


「ムサシがポケモン扱い酷いだけだよ」


お互い負けたイライラがあったのだろう。


口喧嘩はエスカレートしていった。


「大体コジロウって何やらせてもどんくさいのよね」

「そういうムサシは大雑把なんだよ」

「何よ!私がいないと何も出来ないくせに」

「それはそっちだろ。
俺は別にムサシとパートナーじゃなくても良かったんだからな」


それはムサシには辛く胸に突き刺さる言葉だった。


「…………私だって…」

「何?」

「私だってコジロウがパートナーじゃなくていいわよ!
もう私達解散よ」

「………ああ、いいさ!
ムサシよりも優しくて可愛いパートナーを探させてもらうよ」


もはやお互い退けない所まで来てしまっていた。


コジロウの言葉を聞きムサシの瞳に陰が宿る。


「コジロウの馬鹿!」


ムサシはそう言うとコジロウに背を向けて森の奥に走っていってしまった。


「ムサ…」


一瞬停めようとしたが怒りを再び思いだし黙って見送る。


「コジロウ、ムサシ行っちゃったニャ」


今まで二人の喧嘩の勢いが凄すぎて間に入れなかったニャースが口を挟む。


「いいんだよ。もうムサシみたいなワガママ女がパートナーで無くて嬉しいくらいだよ」


しかしその顔はまったく嬉しそうで無かった。
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