図書館
□嫌い
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「うわっ!マズイ!!!」
ムサシは腕時計で時間を確認した後一生懸命走る。
向かった先は喫茶店。
‘いらっしゃいませ。
お一人様ですか?’
「いえ。多分知り合いが先に来ていると………。」
定員の受け答えをやんわり拒否して店内を見回す。
「………………居た。」
目標の人物の居るテーブルに慌てて向かう。
「ギリギリセーフね。」
「三十分遅刻してよく言えるわね。」
そこで呆れた顔で待っていたのは彼女のライバルでもあるヤマトだった。
「まあ、あんたは遅刻魔だから慣れたけどね。」
「バイトが終わるの遅かったのよ。
すみません。コーヒーください。」
そして席につき一回息を整える。
「で、話って何?」
「近くまで来たらムサシ達も活動してるって聞いたから。
雑用を。」
「サカキ様から直接下された任務をまっとうしているわよ!」
「まあ、いいわ。
聞きたかったのはあんたとコジロウの関係よ。」
「……………………へっ?」
その内顔を赤くしながらも必死にいつも通りの態度で返す。
「か、関係って何よ?
別に私とコジロウはただの仕事仲間よ。」
「あら?そうなの。
あなた達、お似合いだと思うのに。」
「本当に♪♪♪♪」
あからさまに顔色が変わる。
だが、ライバルの前で認めるのを嫌なのか慌てて真顔に戻す。
「私は白馬に乗った王子様が迎えに来るのを待っているのよ。」
「へー。
なら、他の子にコジロウを紹介して欲しいって頼まれたんだけど。」
「えっ。」
今度は明らかに寂しそうな顔をする。
「その………止めた方が。
あいつヘタレだしポケモン馬鹿だし。」
「フフッ♪」
ヤマトが我慢出来なくて吹き出してしまう。
どうやらムサシを呼び出したのはからかう為だと思われる。
「な、何よ?」
「大丈夫よ。
あんた達の間に入る余地は無いわよ。」
「だから………。」
「しかし面白いわね。
まさかあんた達が。」
「//////////////」
「そう言えば思い出したけどコジロウって最初ムサシに怯えていたわよね。
最初死に神相手だからと思ったけど、
それとは違うのよね。
苦手な人間に似ているから怯えているような。」
そこでヤマトは気づく。
「ムサシってコジロウと会った時どんな気持ちだったの?」
「あの時は他人になんか関心無かったから。」
「あ〜。そうだったわね。」
「…………………でも………。」
「んっ?」
「コジロウが嫌いな時期があったわ。」