なんでもや

□File.03【なんでもや】
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「今朝言ってた23名ってこれの事?」

「そ、全員合わせて23名の児童達だ。」

「なんだか、去年も同じような事があったわね」

「そういうもんさ、伝統ってやつだろ」



「何訳のわかんねえ事言ってんだ?
そこどかねえシバくぞ!」


オハヨー諸君。
今日は待ちに待った始業式だ!
だからって朝っぱらから騒がしすぎるぜい。

来賓の方々にしちゃあ随分生意気な奴らばかりだ。喚くわ、ガラスは割るわ、怒るわ…

現に今シバくとか言われましたよ俺。どう思います?
一重にシバくと言っても、刈られるのか狩られるのか苅られるのか、どれだかわからないじゃないっすか?

「日本語力と言うか、国語力と言うか、オツムの質は良くなさそうだな?」

「んだとテメエ!?」

「テメエとは失敬な!
これでも俺はそこそこすごい奴なんだぞ!」

「何ムキになってんの…
そんな事よりマキ、どうするの?騒ぎが大きくなる一方じゃない」

「イエア」


麻紀はにやけながら、改めて相手の人数を数え直した。

「六人か。もしもの時は、半分ずつな?」

「わかった」

雪乃は一歩下がった。


麻紀は咳ばらいをし、演説者のような口ぶりで話し始めた。

「えー、みなさん。本日は快晴の下、ご来校頂きましてありがとうございます」

「なんだ急に?ナメてんのか!?」

「いえいえ、とんでもございません」

麻紀は冷静な態度のまま続けた。

「学生のたしなみと言うやつですよ。挨拶は肝心ですからね。
えっと、どこまで話ましたっけ?
あ、そうそう…

どういったご用件かは存じませんが、午後から入学式を控えておりますゆえ、抗議も程々にご退場頂けませんかね?」

「馬鹿か?俺らはその入学式をぶっ潰しに来てんだよ。そんくらいわかんねえのかクソが!」

「…どうしても、お帰りにならないと?」

「いい子ぶってんじゃねえぞこの野郎!」


連中の一人がまたバットで窓を砕いた。
同時に女子の悲鳴も反響する。


五十嵐風真ら三人も、ドアの奥に身をすくめた。
志帆が小声で叫んだ。

「あの真田ってやつヤバイって!どうかしちゃってるよ!
雪乃もなんであんな所に平気でいられるのよ!?」

「静かに、刺激させるとまずい!」


麻紀は相変わらずにたにたしながら続けた。


「ではこうしましょう。素直に帰るって言うならば帰します。警察にも手を出させません。
もし、暴れたいと言うならお相手致しましょう。ついでにお巡りさんに引き渡させて頂きます」

「生意気言ってんじゃねえ!!」

とうとう窓を砕いた男が、麻紀に殴りかかった。
麻紀の顔は完全に黒笑だ。

「はい、一人目」

男の顔面に、麻紀の拳が減り込んでいる。

「プランBを採択。雪乃、宜しく」

「ったく、なんでわざわざ挑発するのよ?」

「まあまあ、軽いストレッチに良いだろ?」


振り返ると、ヤクザ達がイロイロ叫びながらバット振りかざして突っ込んで来やしたぜ旦那。
もう楽しむしかあるめえな♪


「らああああ!!!」

「めーーーん!!!」

めーーーん、は麻紀だ。楽しそうに顔面に膝を入れる。

「うっ…」

「どーーーん!!!」

倒れかけた相手にトドメの一撃、のけ反った背中に回し蹴りは強烈だ。

「ふーたりめ♪」

楽しそうにカウントする麻紀。

雪乃の方も、スネを狙って首にトドメの痛いコンボで二人をいっぺんに片付けてしまった。

「靴が汚れるわ」

「今の蹴りはナイスだぜ!」


「っち、逃げるぞ!」


連中の残りの二人は逃亡を試みた。
が、すぐに麻紀が前に割入り、進路を塞いだ。



「ひいっ!!」

「いつの間に!?」






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