なんでもや

□File.01【麻紀と雪乃】
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新学期の始まりを迎える今日、皆さんはどうお過ごしでしょうか?

新学期=入学ともとれる場合もありますね?
この際どっちでも良いです。


僕が住んでいる町は月深崎(ツキミザキ)といいます。
人口は数えた事はありませんがいっぱいいます。
広さは地図を見た限り狭いです。

割と中心地は栄えていますが、それ以外は田舎です。


僕はこの町にある月深崎西高校に通っています。自宅からも近いので中等部から通っています。

受験は大変でした。
小学校後半は毎日勉強しました。

別にこの学校のレベルは高くありません。
ただ、中高一貫、エスカレーターと言う魅力に引かれただけです。

そのおかげで中学時代は全く勉強なんてしていません。

そのせいで高等部に進学早々、中間テストで赤点でした。
高校は厳しいです。留年という新たな死神が現れました。

しかし、今こうして二年生になる事が出来ました。これも、僕の努力あってのものでしょう。

後世に誇れます。孫が出来たら教えたいです。





「何をぶつぶつ言ってんだ?」

「い、いや!何でもないよ!」

「新学期早々ボケてんじゃない?」

「失礼な!」


「ま、いいけど。今年も編入生が来るんだろ?
カワイイ女の子とか入ってこないかなあ?」

「二年で編入なんて普通いないでしょ?
一年の時は外部からの入学があっただけ」

「おい佐藤、男の夢を壊すなよ。お前だって去年、『カッコイイ男の子、入って来ないかな?』
ってキャピキャピしてたくせに」

「うっさい!」


二人は坂井昌明(サカイ マサアキ)くんと
佐藤志帆(サトウ シホ)さん。
僕とは中等部からの付き合いだけど、二人は小学校も一緒の幼なじみです。

あ、申し遅れました。
僕は五十嵐風真(イガラシ フウマ)
です。



「桜が綺麗だね」

「何風流な事を…」

「でもホント綺麗ねえ、桜並木は毎年見るけど飽きないわ」

「まあな。ここも観光スポットだし」



「あれ?ねえ、なんか校門に人だかりが出来てるよ?」

入学式は午後からだから新一年生と保護者が来るにはまだ早い。
三人は人を掻き分けて前へと進んだ。

「あ、志帆!おはよ!」

「おはよう、由美。なんなの、この集まり?」

「あれ、まだ見てないの?」

「見てないって?」

「何があんだ?」



僕達はやっとの事で一番前へと出て来た。


「なんだこれ!?」

「うわっ…」


目の前にいたのは、いかにも悪そうなお兄さん達。

つまりヤクザだ。

それもたくさん。


「オイ、武男さんよ!
いんのはわかってんだ、さっさと出て来いやコラァ!!」

コラァ!!とか言う辺りがはまってますね。
流石本物は違う。

ちなみ武男と言うのは高等部の教頭だ。

「あいつ知ってる。去年、三年で退学になった竹本と小林、それにこの辺で一番悪な武田だ。
こんなに仲間引き連れて何する気だ?」

「決まってんじゃん。入学式を台なしにする気よ。あいつらの退学を教頭が推薦したらしいしね。
ま、午後までには引き上げるなり捕まるなりするでしょ」

「だと良いけど…」

こんな映画かドラマでしか見れなそうなシチュエーションに見入っていると、ヤクザ達は校舎の方に進み出した。

僕達のような野次馬には一切無関心だ。

「乗り込む気か!?」

「うわ、まずいんじゃないの!?」

色んな所から悲鳴に似た叫びが聞こえてくる。

案の定、校門のガラス戸を破り始めた上、手当たり次第にガラスを割っている。


例の教頭がいる職員室は普通科棟の二階だ。
ヤクザ達は三つに別れ、普通科棟、中等部棟、寮の方へ進み出した。

ヤクザ全体の人数は二十人程度だが、バットから鉄アレイまでスタンダードなスタイルが多い。
襲われたら普通に紅い池の一つや二つできるだろう。



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