Ring-現代-
□第二話
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カーテンの隙間から
朝日が微かに洩れて室内に差し込んでいる
いつの間にか、暖かなホットカーペットの上ですっかり寝こけてしまっていた私は、はっと身体を起こす
すぐ目の前には、背後のベッドに背を預け静かな寝息を立てる彼の姿
そう、やっぱり
夢ではなかったのだ
Ring -第二話-
自らの身体に掛けられた毛布を身体に纏い、態勢を整えればテーブルを挟んで反対側で、未だに眠っている様子のジェイドをしばし見つめる。
テーブルにはほんの少し乱雑に散らかった紙とペン。
昨日、あれから鉱石が記した言葉と譜陣についてジェイドは調査を始めたのだ。
『お気になさらず』と言われてしまった上、私がいても邪魔になるだけな気がしてしまったので、私は大人しくお風呂に入った後軽い夜食をジェイドに作って、しばらく彼の研究風景を観察していたことまでは覚えているのだけど…
「(寝ちゃったんだ…超大失態……)」
この毛布も、恐らくはジェイドがベッドの上にあったものを私に掛けてくれたのだろう。
本来は逆であるべきシチュエーションに参った、と頭を数回掻く。
さすがのジェイドも、異空間を飛ばされてきた為か疲れていたに違いない。
眼鏡を外し、身体をベッドにもたれさせるようにして今も静かに寝息を立てて眠っている。
…それにしても、眼鏡を外し朝日に照らされたジェイドの寝顔はとんでもなく綺麗なもので。
「…本物…なんだよね…」
触れて、確かめたくなる。
でもそんなこと叶わないってわかっている私は、代わりに自らの頬をぎゅっとつねってみる。
ちゃんと、痛い…
私がそんなことをしている今も、彼は実に穏やかな表情で眠りについていて。
起きているときとは大違い、なんて思ったら一人笑いが込み上げてきてしまった。
眠っているジェイドを起こさないよう、そっとそっと立ち上がり彼に近づいて、先程まで私が被っていた毛布を掛けてあげる。
時計を見ればまだ朝の8時
普段の私なら、絶対まだ寝ている。
今日は幸い土曜日で、学校もバイトもお休み。
せっかく目が覚めたし、ジェイドが目覚める前に朝ご飯でも立派に作ってやるかと一人意気込んだ私はタンスからジーパンとシャツワンピを取出し、キッチンの方へといって着替えることにした。
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