「たまにはゆっくり休んできて」
ボスである沢田綱吉に言われたその一言で、ボンゴレ幹部である山本と獄寺は、温泉に来ていた。
ここはなかなか予約が取れないという有名な温泉旅館で、簡単に予約が取れたのはボンゴレの名があるからかなと二人は感じていた。
迎えられ案内された部屋は、とても広く窓の外からは雄大な自然が見える事から、その旅館の最上級の部屋であるという事が分かる。
「お、部屋に露天風呂も付いてるのな」
山本が自然を見ようと窓を開けると、そこには木で出来た小さな露天風呂がついており、ここから自然を見ながら風呂に入れるという事になっているのであろう。
着いたのがすでに夕方ということもあり、そこからはすでに茜色の空が広がっている。
「隼人、一緒に入ろうな」
「そんな小さな風呂に二人で入れるかよ。俺は一人で入る」
確かにその風呂は大の大人二人で入るのには少々狭い。入ったとしても体をかなり密着しなければ入る事は困難に見える。
しかし山本は獄寺といやらしい事がしたくて言っている訳だから、むしろ密着は大歓迎なのだ。
「えー、一緒に入ろうぜ。んでお風呂Hしよ」
「うぜぇ、死ね」
昔と変わらずの獄寺ラブっぷりを発揮する山本に冷たく接する獄寺は、持ってきた荷物を開けようとカバンのジッパーを開く。
「うわっ!」
開いたと思ったらいきなり獄寺は後ろに倒れる。
事を理解出来ていない山本は驚き、獄寺に近づく。
「大丈夫か?」
「ってて…何だ?」
「にょーん…」
「「瓜」」
そこには獄寺の匣兵器である瓜がいた。 瓜は獄寺の腹の上に乗り、寂しそうな声をあげながら獄寺を見つめる。
獄寺は昔からこの瓜の顔に弱いのだ。
「何でここに?出掛ける前に戻さなかったのか?」
「あー…戻そうと思ったんだけど、嫌がってよ。ほっといても炎が切れたら戻るから、そのままにしといたんだけど…」
まさかカバンに入ってくるとは流石に予想外だったようで驚きを隠せていない。
瓜は元々匣に入るのを嫌がったり、食べ物を食べたりと匣兵器らしかぬ行動をよく起こしていたが、学習能力もあるのかと思うと、こいつは特別な匣なのかと思う事も少なくない。
瓜の出現により二人きりの旅行が三人…ではなく二人と一匹の旅行になってしまった。