募り、崩れ、また募る
□03
1ページ/10ページ
遥と並んで歩く。
季節は冬。今年は珍しく雪が少し積もった。
「なんだかんだで、初めてだね。
遥と仕事帰りを歩くなんてさ。」
「本当だよ。今日は嬉しいことばっか。」
「え?」
「だって、なにしろ今日はJUMPの皆に会えたし。」
「そう。」
僕の口が勝手に動いただけだけど、
遥が喜んでくれたならいいか。
「それに、侑李の仕事してる姿見れたし。」
「そう。ま、僕も遥の仕事モード見れたし。」
「そっか。」
時間も時間で、もう暗いからなのか
冬の寒さからなのか、
いつもより、話が進まない。
きっと、もうこんな機会ないだろうから、
僕は、遥を見てそう思った。
今なら誰にも邪魔されない。
今なら十分に想いを伝えられる。
それに、今日改めて遥を好きだと感じた。
僕は、白い息を深く吐いて
冬特有の澄んだ空気を吸い込んだ。