novel

□Dear.Athrun
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Dear.Athrun


久しぶりだね、アスラン。元気にしてる?
君がオーブに行って、僕がプラントに行って、もうどのくらい経ったかな? 
地球と宇宙・・・こんなに遠い距離に居るのに、全然遠く感じない・・・いつも君が直ぐ傍にいるような気がするのは何でだろう?

そういえば君とは小さいときから仲良しの友達だったけど、月で別れてからお互いのことなんて確認したこと無かったね。
そのときもプラントとヘリオポリス、随分距離があったのにね。
でも「あの日」―――君がZAFT兵となって、ヘリオポリスに攻め入ってきたとき戦場での再会・・・あの時は本当に直ぐ傍に居たのに、何故だろう、ずっと遠くに居るような感じがしたんだ。
君と何度も戦ったとき、こんなに近くに居るのに、なんで心が遠く離れちゃったんだろう、ってね。

確かに僕らは子供だったから、大人が始めた戦争に抗うこともできず、ただ運命に流されるしかなかった。
僕も何度も泣いたよ、あの時は。君と戦いたくないのに戦うしかなくって、友達が君に倒されたときは本当に君を憎んだよ。本気で君を殺そうとした。
でもなんで君と戦わなくちゃ・・・憎みあわなきゃいけないのか、あの戦争が無ければ、そんなこと全然しなかっただろうに。恨んだよ、戦争を、勝手な大人を、君を、そして・・・何もできない自分を・・・

でも君と本気で戦って、心も体も傷ついて、全てが空になってしまった僕を、ラクスが引き取って介抱してくれていた時、ふと感じたんだ。
―――「このままでいいのか?」って
ラクスも「もう戦いに行かなくてもいい」と言ってくれたけど、それじゃ何も変わらない気がしたんだ。運命を人に任せたままでいいのかな?って。
自分で何もせず、人に委ねたままの人生を送って、最後に自分自身に何が残るのか・・・この戦争だって、自分の意思で戦って、終わらせたい。僕一人の力じゃ何もできない事はわかっているけど、ただ言われるままだったら何もしないことと同じでしょ?
でも、僕に力をくれたラクス、オーブで平和の為に戦おうとするカガリ、そして、何より僕の考えを理解してくれた君がいてくれて、本当に僕は嬉しかったよ! 君が一緒に戦ってくれるなんて、凄く心強かったし。
またあの時―――月に居た時と同じ気持ちで君と話し合えて、本当に感謝しているんだ。

一度戦争が終わって、でもまた再び戦火がきて、君がZAFTに復隊したと聞いたときは辛かったよ。君がオーブに戻ってきてからずっと悩んでいたことは知っているから、君は君なりに考えての復隊だったんだろうけど、カガリを置いて行ってしまったときは正直少し怒っていたんだ。
カガリがオーブに自分を捧げる為に、心を殺していく姿が僕には耐えられなかった。だから僕は無理矢理カガリをオーブから引き離したんだけどね。
そうそう、「カガリが結婚した」って聞いたとき、もの凄くビックリしていたって、ルナマリアが言ってたの聞いたよ。少しはいい薬になったんじゃないかと思ったけどね。
君がこの戦争の根である議長の企てを知って、僕達は再び手を取ることができてよかったけど、あの時は君が撃墜されて、ボロボロになって帰ってきたときは、どうしようかと思ったよ。カガリなんて泣いて泣いて、僕が慰めても全然止まらないし・・・。

アスランって小さい時からいつもしっかりしていたけど、こんなに無茶するようになったのは何が原因なの?前のときもプラントのお父さんに突っ込んでいったり、脱走したり・・・。
無茶するって言えばカガリも凄い無茶するんだよね。勝ち目もないのにバルトフェルドさんの舞台にジープで突っ込んでいくしさ。最近はそんなこともなくなってきただろけど、この前みたいに君がノロノロしていると、国のためならまた別の人と結婚する!なんていうかもしれないよ? 

・・・何だかそういうと、君達って結構似ているのかな?

う〜〜ん・・・なんか悔しい気がするけど、ともかく、カガリが無茶しないように、ちゃんと守ってあげていてよ!僕が傍にいて上げられないんだから!

また何時かオーブに行きたいね、ってラクスと言っているんだ。
マルキオ様のところの孤児の子達にも会いたいしね。
当然カガリの顔見るのが一番の目的だけど、折角久しぶりに姉弟が会えるんだから、その時はちゃんと空気読んでジャマしないでよ!

じゃぁ、また手紙出すね。
それまで元気でね!


From.Kira
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