novel

□Pinky Pants 大作戦!
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=PHASE-1 〜Athrun〜=(本編第32話辺り)

「『アークエンジェル』の情報が入ったわ。」
ミネルバ艦長、タリア・グラディスの声に、一同が息を呑む。
「今、我々の向かっている『ベルリン』に姿を現したようよ。」
「『ベルリン』にですか!?だってあの戦艦は元々『オーブ首長国』の―――」
「アーサー。…今は、あの艦は『UN KNOUN』よ。」
副艦長、アーサー・トラインの声に静かに返答すると、一同の間にまたざわめきが立った。
「『ベルリン』…なんでそんなところにまでアイツら出てくるんだよ!」
「…何らかの補給経路でもあるんだろう…」
噛み付くようなシンの声に、レイが落ち着いた返答をする。

…だが、ここに更に深刻そうに、握った両手を震わせながら佇む男が一人―――

「アスランさん?」
ルナマリアの声など届かないように、アスランは俯いたまま、額から汗をにじませていた。

(―――『ベルリン』だと!? なんでそんな寒いところにカガリ達がいるんだ!?)

更にアスランは考える
(そうか…確か『スカンジナビア王国』は『オーブ』と同盟関係にある国だ(←そのくらいは一応護衛やっていたんだから知っている)…そこから補給してもらっているんだろう…でも
…)
アスランが<キッ!>と翡翠の瞳に鋭い怒りをにじませながら、顔をあげる。
(何でそんな寒いところにカガリを連れて行くんだ!!#(←怒りマーク)カガリはあの南国『オーブ』育ちなんだぞ!そんな彼女を北緯60~70°のあんな寒い国に連れて行くなんて、カガリが風邪を引いてしまうじゃないか!! …きっとアイツら(※キラとラクス)、カガリのことなど心配しないで、「僕の言うとおり、スカンジナビアに行けば間違いないよv」「そうですわvキラの言うとおりですわv」 (2人揃って)「「アハハハハハハ!」」とかいって決めたに違いない!!)

そんなアスランの脳裏に浮かぶのは
(※切なそうな金色の瞳で)(…寒いよ…アスラン…温めて欲しいよ…)←ザラの妄想ですので100%暁ドレスの肩を抱きしめながらウルウルしているカガリたんv)
(くそっ!!俺としたことが!!ここじゃ俺がこの身を呈してカガリを温めて上げられないじゃないか!!「君は俺が護る!」と誓っておきながら、君に寒くて辛い思いをさせてしまうなんて!!)
アスラン「俺は馬鹿だからぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

「あ、アスラン…さん…? 一体…」
シンとルナマリアが思わずその勢いにたじろぐ。
そんな2人の視線もお構い無しに、アスランは全速力でブリーフィングルームを飛び出していく。
「待っていろ、カガリ!!俺が絶対君を(寒さから)護ってみせる!!」


***


で、その夜更け――-―
シンが廊下を歩いていたら、アスランの部屋のドアの隙間から漏れる光に気がつく。
(アスランさん、電気つけっぱなしで…一体何やっているんだ?)
シンがそっとドアの隙間から部屋を覗き込むと、そこでシンが見たものは―――
「(ヒィッ!!)」
思わずシンが気圧される。
そこでは何か呪文を唱えるように「ブツブツ…」と呟きながら、アスランが手元を、コーディネーターのシンさえも見えない高速スピードで動かしている。
…既に「目は据わっています。」

(な、何なんだよ、あれ!あの人いったいなにやっているんだ!?)

壁に張り付くようにして気配を消した(つもり)のシンの頬には、冷や汗が伝わってきていた。

次の日も、また次の日も、アスランは食事にも降りてこず、ひたすら部屋に篭り続けていた。
たまらずルナマリアが心配げに呟く。
「アスランさん、ここのところずっと食事も摂っていないし…一体どうしちゃったのかしら?」
「あのアスランのことだ。セイバーが落とされて、戦闘に参加できない以上隊長として、次のベルリンでの戦闘プランでも考えているのかもしれない。」
ルナマリアやレイはそう判断したが、シンは落ち着かなかった。

どう見てもアレは「悪魔に取り付かれた者」のようにしか見えないのだから…。


***


自室のベッドに横になりながら、シンはぼんやり考えていた。
いや、既にシン自身、あのアスランが寝食を忘れるほどまでに集中しているものの正体が気になって仕方がないのだ。
(…よし!今日こそ尻尾を掴んでやる!)

廊下を気配を悟られないようにしながら、シンはアスランの自室の前に到着した。
ありがたいことに、アスランは席をはずしているらしく、シンはそっと部屋に忍び込んだ。
アスランをどことなくライバル視しているシンにとって、アスランに追いつくには、アスランのしていることを知ることが一番だと悟っていた。
(さぁ、一体何をやっているんだ!?アスランさんは―――)
アスランのディスクの上に置かれた『それ』を、シンは覗き込んだ!

「って、何だコレはぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!」
アスランのディスクの上にあったものそれは―――
「コレってまだ『ト○ー』と合併する前の『タ○ラ』が作った『おもちゃの編み物、『お○ひめ』(※対象年齢7歳以上)』じゃないか!(しかも微妙に自分で改良加えてる!!)」
そしてディスクの横には、編み上げたらしい「黄色い毛糸のパンツ」が!!
そこに隙が生まれた!
「シィン・アァーーーースゥーーークゥアァァーーーーッ!!#」
シンが背中にその恐ろしいまでの殺気を感じ、恐る恐る振りむくと、そこには燃え盛るヒスイの焔をたぎらせた、隊長『アスラン・ザラ』の姿が!!
「す、す、すいません!隊長!!俺、別に悪気があって見たわけじゃ!!」
「だったらなんだ!答えによっては速攻この場で銃殺にしてやる!」
「た、た、ただ俺、『この毛糸のパンツ』いいなぁ…と思って…(←言葉のアヤです)」
「そんなに、この『黄色い毛糸のパンツ』が欲しいのか!?」
「は、はいっ!!」
もう、こうとでも答えないと、1秒後には瞬撮される!
「そうか…だったら安心しろ。」
「は?」
急にアスランの声が穏やかになる。
「ほら、ちゃんと羨ましくならないように、お前の分も作ってやったぞv」
アスランはコソコソと沢山の毛糸の入った袋(※一体どこで仕入れてきたかは謎)の中から、一枚の『赤い毛糸のパンツ』を取り出した。
「こ、これを俺に『はけ』って言うんですか!?」
「だって欲しかったんだろう? あ、この黄色いのはダメだ!カガリのために『極上スペシャル高級金色毛糸』で編んだものだからな。しかも後ろには『獅子の娘』らしく『ライオンのプリント付き♪』だぞ。どうだ、可愛いだろう!」
「え…えぇ…(って、どう見てもトラネコにしか見えないんだけれど…)」
そこに通りかかったレイが、ふと部屋の中を覗く。
アスラン「丁度良かった、レイ。君のもあるぞ。」
そういってアスランが取り出したのは、やはり『真っ赤な毛糸のパンツ』
「君のプリント柄は『シャァ猫(※)』にしておいたぞ。」

得意満面なアスランを遠めにしながら、シンは思った。

(マユ…お兄ちゃん、今何と戦わなきゃいけないのか、判った気がする…)

一方後ろでは
「ギル…」

頬を赤らめながら、『真っ赤な毛糸のパンツ』を見つめるレイの姿があった…。


・・・Athrun編 Fin。


※『シャァ猫』:浪花愛先生がその昔、お描きになった名作『シャァ猫のこと』の主人公。
 当然、あの『赤い彗星』のシャァが猫になっている漫画です。ちなみにファースト全員が『猫』です。
 ちなみににゃみさんは『セイラねこ』が好きでした。
 この漫画知っている人は、そーとー昔からのアウシタンです(笑)
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