novel
□『Dear.Lacus』
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Dear.Lacus
えっと…今更こんな手紙出してみたけれど…読んでくれてる…かな?
本当は口に出していうべきことなんだろうけど、ごめんね。
僕、こういうのなんか苦手で。
ラクス―――君と初めて出会ったのは、まだ僕が『地球連合軍』の一兵士だったときだったね。
あの時僕は、凄く落ち込んでいたんだ。
あの船『アークエンジェル』…ううん、それだけじゃなく『地球連合軍』の中で、たった一人の『コーディネーター』だったから。
―――「君は『裏切り者のコーディネーター』だ。」
そう現実を突きつけられたとき、僕の心は張り裂けそうだったんだ。
でも、そんな僕を君が初めて癒してくれたんだ。
―――「あなたが優しいのは『コーディネーター』だからではなくって『キラ』だからでしょう?」
そのとき、凄くうれしかったんだ。
僕を『コーディネーター』も『ナチュラル』も関係なく『一人の人間』としてみてくれる人が居る事に。
戦いに傷ついた時も、君は何も言わなかったね。
「何故戦うのか?」「何故負けそうな友軍の元に、たった一人で降り立とうとするのか?」
傷ついて尚、答えがないけれどただ「そうしたい。」という思いだけ。でもそれを君は何も言わず受け入れてくれたね。
新しい剣―――『フリーダム』を僕に託して。
そう…君はいつも何も言わない。
でも、僕の思いをいつも汲んでくれた。
そしてともに戦って気が付いたんだ。
『僕達は同じ未来を目指している』って―――
君はいつも支えてくれた。
僕の心を。
悲しい記憶と悲しい夢しかない僕の心を、慰めでもなく、ただ温かく包み込んでくれたのはいつもラクスだったね。
ありのままの僕を受け入れてくれた。
それが僕にとって、どんなに嬉しい事だったか。
だから、今度は僕が支えるよ。
君のような強さはまだないかもしれないけれど。
君を丸ごと受け止められる力はないかもしれないけれど。
だから…これからも一緒に歩いて行って…いいかな?
僕のできることで、君を護るから。
君がくれた『僕の剣』とともに。
From.『キラ・ヤマト』
・・・Fin.