螺旋の書
□絆伝説
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第一章
スタートライン
(腹減った…)
仲間とはぐれた香介は一人森をさ迷う。
仲間とはぐれた為に食料は腰に備え付けていたビスケットのみ…
だが、それも底を突き獲物を探し歩く。
ガザガザ
「!?」
何かの物音に短剣を抜く。
飯になるもんなら良いんだけどな…そんな事を思いながらそっと忍び足で物音がした方へと距離を縮めていく。
草影から音がした方を覗き込めば獣ではなく、男が一人突っ立っている。
形を見る限り…
どうやら賢者のようだ。賢者は珍しい植物を調べている最中だった。
獣では無かったが食料ぐらいは持っているだろう…
香介は、賢者が夜、寝静まった頃合いをみて奇襲をかける事にした。
* * * *
ホォーホォー
フクロウが不気味に鳴き始める頃…
香介は、賢者のテントに侵入していた。
ぐっすりと眠って居るのを確認し、賢者の私物に手をだす。
カランッカランッ
「?!」
手を触れた瞬間、缶がぶつかるような音が響く。
慌てて逃げようと表に出ようとした時、何かに躓き転倒してしまった。
「夜盗か…」
「っ…」
賢者は香介に乗りかかり地面に押さえつけていた。
「離せっ!」