VOCALOID/ミクとリン




学校から帰ってきて二階の部屋に上がると、何やらミクとリンが楽しそうにパソコンを囲んでいた。
視線はパソコンに釘付けで、そのせいでわたしが部屋に入ったことにも気が付いていない様子。
暫くその場に立ち竦んでいると、リンがこちらに駆け寄ってきて抱きついた。わ、ちょ、倒れる…!


「ねえねえマスター!リン『せつぶん』やりたいな!」
「…節分?」


何でまた唐突に…。最近うちのボーカロイドたちは行事に敏感だ。まあ、元凶はわたしなんだろうけど。テレビをつけっぱなしにしているのもその理由の一つだろう。目が悪くなる…ことはないだろうけど、やっぱり見すぎはよくない。注意したほうがいいのだろうか。


「マスター、私たち日本の行事について調べてたの」
「ミク…あ、そっか。うんうん。日本の行事ね」
「せつぶんって、嫌な奴におもいっきり豆腐投げつけていいんでしょ!?」
「………」


すこし間違っている気がする。いや、大分間違っている気がする。
イキイキと顔を輝かせるリンに何からどう説明しようか激しく迷った。ミクは隣で満面の笑顔を浮かべている。危急存亡だ。


「えーと…節分って言うのは…、鬼に豆を投げつけて邪気を追い払って、一年の無病息災を願うっていう行事なの」
「へえ〜!マスター物知りー」
「2人ともやりたいの?」
「「うん!」」


きらきらとわたしには眩しすぎる笑顔を向けられる。無邪気だなあ…ミクはわたしと大して年齢変わらないけどここは敢えてスルーだ。先程外したマフラーを巻き直してドアノブに手を掛ける。


「豆、一緒に買いにいこっか」
「行くーっ!」
「ついでにネギも買ってねマスター!」
「はいはい」



節分



「鬼は誰にしよっかー?」
「「カイト兄!!」」
「………」

















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