†‥†‥†‥†‥†‥†‥†‥†‥†‥†


ただの興味本位だった。
僕がこの子を助けたのは。


あの時、殺そうと思えば簡単にその命を容易く摘む事が出来たし、僕が手を汚さなくても放っておけば死に至るのは一目瞭然、目に見えて判っていた。


でも、どうしてだろうね。
何故か心が惹かれて、どうしても傍に置いておきたいと思ってしまった。

何が原因かは解らないし、そうなったキッカケも何だったのか覚えていない。



ただ、いつの間にかキミがこんなにも愛しくなってたんだ……




 † 愛しいキミへ Requiem d'amor † 

Diretnre
 春日春菜 [かすがはるな]


Tema
 復活only


Forma
 甘・ギャグ〜シリアス・裏迄
 出来うる限りの傾向を詰込み
 女主人公取扱い皆無(BLonly)


Musicale
 白蘭寄りミルフィオーレ中心
 オールキャラでBL(恋愛)前提
 記憶喪失男主人公
 総受けトリップ連載夢Main
 (原作設定無視)

 連載設定に因る短編夢

 気分次第でポエム
 素敵相互様
 等々をお届け


Cantante
 主人公名は男主故固定


Tempo
 Adagio
 (週刊寄り不定期配信)
 (月2〜4通前後予定)


Variazione
 http://id45.fm-p.jp/8/drent/
 my web site URL


Suite
 concerto.1@missa-con-amore.b.to
 相互は入江正一氏が御案内致します


†…†…†…†…†…†…†…†…†…†

銃声が止み、聞き苦しい雄叫びも消え、か弱い呻き声も漆黒へと吸い込まれ、辺りは独特の静寂に包まれた其処は、つい先程迄抗争が有ったとは思えない程閑散としている。


空に在る紅い月の妖しい光を背に受け、地面の持つ吸水能力を上回り、溢れ出た血溜まりを通り越し、目的の人物を見つけ、ゆっくりと其の場に膝を着いた。


じわじわと服が紅に染まり濡れて行くのが感じられた。でも、今の僕にそんな事を気にしている余裕は何処にも無い。自分でも解る位に、目の前に在る物に動揺している。一瞬、自分の思考が完全に停止したのが何よりの証拠だ。……何時もどおりに微笑えているのかが、少しだけ気になった。



目の前には血塗れになった愛しい子が横たわって居て、その下にはその子から流れ出した血が溜まり、妖艶に月を映し出す。其れはまるで絵画の様。孤独感溢れる惨劇後の…妖しくも、どこかとても幻想的だった。



(──これはもう…虫の息、と云うやつ…かな…。)



出来るだけ振動を与えない様に抱き起こすと


「…ぁ……びゃく、ら ん……?」


穏やかに微笑み乍、僕の名前を声に成らない声で静かに呟いた。



其の呟きを聞いた時、僕はどんな顔をしていたんだろう。余り好くは判らないけれど、多分今迄した事の無い様な、誰にも見せた事の無い様な、そんな表情をしていたんじゃないかな。腕に抱いてる君が、驚いている様に見えたから。


僕が何かを言おうと口を開いたら、其れよりも先に愛しい声が、耳に響いた。くぐもってて、小さな声の筈なのに、とてもハッキリと、鮮明に。


「ありがとう…」
「……i…mo」


そう言ってとても綺麗に微笑んで、ゆっくりと瞼を閉じる。
その瞼は、もう二度と開く事は、無い。



雨でも降って来たのだろうか、ポツリポツリと彼の服に小さな丸い水痕が出来てゆく。
(この頬から伝わる物は一体何なのだろう。)


「――――――ッ」


無駄な行為と解っていても、気持ちを抑える事が出来なくて、段々と冷たく成って行く華奢な骸を力の入らない腕で強く抱き締め、囁く程度の声量で、狂った様に何度も何度も、名前を呼び続けた。それこそ、声が嗄れる程に、何かに憑かれたかの様に何度も何度も。



闇の深まりが緩み、夜の帳が明くる頃、愛しい名前を呼ぶのを止めた。
そうして今度はそっと別の言葉を紡ぎ出す。幽かにしか聞こえない声で、一つの旋律を。



其れは死者の魂を慰め鎮める為の歌。


ありったけの想いを込めて捧げよう。




愛しいキミへ、愛の鎮魂歌を



<キミに捧げる鎮魂歌>


†…Inizio…†
 00516846s@merumo.ne.jp
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