1059musou

□横隔膜の甘いところで待ち合わせ
1ページ/13ページ


疲れたよ、その上眠い。気分はまるで中年サラリーマン。
さらに今日は日曜日。
普段なら寝坊をしてる。その上二度寝もしてる。
しかし私は学校に向かっている。なぜかって?
培養してる細胞の面倒をみなくちゃならないからだ。
『私がいないとダメなの!』なんて、まるで、だめんずに言う台詞が完璧に当てはまるこの状況。
現に奴らは勝手に増殖をし、キャパシティオーバーするなり、別のディッシュにきちんと分けてやらねば全滅してしまう。
半ば、細胞が彼氏。自分で言ってて泣きそうだ。
まあ、泣いてもしょうがないのだけれども。
取りあえず学校に着くとひとまず教授の部屋へ。
教授の机から実験室の鍵を拝借して、第二実験室へ。
白衣を纏って、早速クリーンベンチで作業を始めようと思ったときだった。

「あのー・・・・、ちょっといいかな?」

「はい?」

誰かに声をかけられた。声質からして中年男性だろう。
少し早いけど外来の人かな、と思って、私は振り返った。
その先には――――

「も、申し訳ないんだけど、これを退けてくれないかな?」

「は、はい・・・・・・?」

一寸法師(仮)が、伏せられたビーカー(1L用)の中にいた。思わず奇声を上げそうになった。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ