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□Crimson Lake
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ズズーと紅茶を啜る。
ほんのりと甘く、ほんのりと苦い。
落ち着く味にレイファの頬が緩くなった。
「やっぱ、ここのケーキセットは美味しいなー」
フォークを手に取り、紅茶とセットになっているミルクレープをパクリ。
満面の笑みになると、もう一口食べようと手を伸ばした。
「おやおや、クリームが顔についてますよ」
「!?」
後ろから伸ばされた手に頬に乗っかったクリームを拭われる。
あまりの驚きに、レイファの手からフォークが滑り落ちた。
床に転がったフォークを美しい手つきで拾うのはスティル。
新しいフォークをレイファに渡すと微笑えんだ。
「あ、ありがと…」
「いえいえ、どういたしまして」
スティルの席はレイファの後ろだった。
ちょうど背中合わせになっていたため、レイファは気づくことができなかったのだ。
「美味しそうですね、ミルフィーユ」
レイファのボッと頬が赤くなる。
からかわれている…。
悔しくなって、プイと顔を背向けた。