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□Crimson Lake
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「いってきまーす」


見送りのいない門。

レイファは明るく言い、城に向かって手を振った。


「…誰もいませんけど…」

「いーの!行く時はいってきます、帰ってくる時はただいま。これ常識」

不思議そうにネフィルがレイファを見る。

行くよーとすたすた歩いていくレイファ。

着ていた教団の任務着が風で靡く。



歩き始めてしばらくがたったころ、急にレイファが言う。


「みんなのこと教えてくれる?資料だけじゃやぱり…ねー」

これから五日ほど一緒に過ごす仲間だ。

少しでも多くのことを知っておきたい。

いや、もしかしたらもっと長い時間すごすことになるかもしれない人たちなのだから。


「“勇”のフィオラ。堅いのは嫌いな剣士っす」

なんか、わかる。

ウィルに敬語を使えなく怒られたと聞いた。


「“智”のネフィル。書士を目指してます」

「えー、あれって難しいんでしょ?凄いね」

書士とは、教団内の図書室の本を管理する人のこと。

何があるか、どこにあるかすべて把握してなければならないのだ。


「“鉄”…ラウル。特技…立ち寝」

「……無口なのかな?」

「そっすね。学所でもそうでしたもん」

教団に入る前に四年の講習を受ける。

それが、学所という場所だ。


「“騙”のレイン。ねぇねぇ、レイちゃんって呼んでいい?」

にっこりと可愛らしい笑みを浮かべ言う。

こんな弟がほしいと内心でポツリ。

「もちろん。そしたらわたしとレイくんでレイレイ兄弟だねー」

「あ、ホントだー」


次ーと顔を向けると、横目で見られた。

「“記”のスティル。一番の年上です」

「……やっぱり」

この不思議な雰囲気は最年長でしか醸し出せない。

何となくな確信を持っていた。


「“魔”のアールド」

「……他は?」

プイと体ごと向きをかえ、レイファを避けた。

何もしていないのにこの反応は傷つく。

こっそりとフィオラに聞いた。


「わたし何かした?」

「いえ…アイツ師匠以外信じてないんすよ」

「師匠?」

「山奥で暮らしてた時の親代わりの男だとか…。なんでもものすごい魔術師らしいですけど」

誰…?

そう聞こうとした瞬間、遠くに建物を見つけた。


「街だ!」

   
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