Main
□Crimson Lake
1ページ/5ページ
物語の舞台はハヴィット共和国。
大自然に囲まれたとても過ごしやすい国だ。
一見、穏やかなハヴィットには守らなければならない掟がある。
この国には境界線が存在する。
国を北と南で分けるかのように高い壁が設けられていたのだ。
その壁を境として
北の者は南の地区に入るべからず。
南の者は北の地区に入るべからず。
これを設けたのは、教団と呼ばれるある組織だった。
北の教団。
城のような作りの建物で一人の男がため息をついた。
肩甲骨まで伸ばした絹糸のような金の髪に空のような青の瞳。
女顔にヒョロリとした長身は誰が見ても美しいと思うだろう。
「ウィル!」
呼ばれた男は振り返る。
ウィル、はこの男の名前だ。
呼んだのは、栗色の髪の毛を揺らした少女。
「レイちゃん。どうしたの、そんなに急いで」
レイちゃん…レイファはニコリと微笑んだ。
「来たわよ」
その言葉にウィルも微笑む。
「そりゃ、楽しみだね。さて、行こうか」