*頂き物*

□君が待っている家に帰ろう
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「ねえねえ、リーマス。赤ちゃんが産まれたら女の子か男の子かどっちがいい?」
「...どうしたの?急にそんな話を...」
「希望がある話でしょ!」
「そうだよね、僕たちも近いうちにそうなるわけだ。
それで?さっきの話の途中は?」
「えっとね!私は女の子がいいなあって思う。
女の子だったらお父さんに似るっていうでしょ?
だからリーマスに似てほしい」
「僕は名無しさんに似てほしいかも。
あ、でもその性格は不要だけどね。
きっと大きくなったら突然訳の分からない言葉を言い出したり、木にのぼりだしたりするんだろうなあ。
それを考えると名無しさんで手がいっぱいだって」
「...私って扱いにくいの?」
「うん」
「え!でも性格は直してやらない!
あのね、リーマス。私は今、妊娠4ヶ月なんだって」
「......嘘はエイプリルフールにいうものだよ」
「嘘じゃないよ。本当だよ」
「.........本当に?」
「...うん」
「僕たちの、子供......」
「...うわ!どうしたの、リーマス。なんで泣いちゃうの?」
「...うれしい。ありがとう、名無しさん」
「リーマス、そんなに抱きしめてくると痛い...」
「うれしい、けど。名無しさんとお腹にいる赤ちゃんを育てていけるかな。
僕は人狼だ。ろくに定職にだってつけない。
今は名無しさんが働いて稼いでいるお金で生活をしている」
「リーマス...」
「名無しさんと赤ちゃんをこれから守れないと思うと、それが怖い」
「...大丈夫だよ。私、動けるまで働く。
だからリーマスも一緒にがんばろう?」
「.........わかった、がんばろう」


そういって笑った彼の瞳は、どこか寂しげな色を含んでいたれど、それからずっと、私を抱きしめていてくれた。
リーマスとなら、これからもずっと、一緒にいれる気がする。
そんな思いが、頭をよぎったんだ。



君が待っている家に帰ろう



20110710
 

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