*捧げもの*

□一日早いクリスマス
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クリスマス…

それは人々がキリストの誕生を祝う日…

人々が、サンタクロースからプレゼントをもらい楽しむ日…

…なんて、全くバカげてるね。
クリスマス?
キリストが生まれたからって何だっていうの?
人々が楽しむ?
ただの弱い草食動物が群れて騒ぐだけじゃないか。

くだらない…

僕の仕事が増えるし…
なんて最低なんだろう。


イライラとしながら学校でのクリスマスに関する資料を見る。

最低だっていうのに学校でクリスマス…
クラスによってはクリスマス会をやるって言ってたっけ。

見ていた資料を机に少し乱暴に置くと、いつものごとく応接室のドアが勢いよく開いた。

「雲雀さーんっ!!」

来た…

「今日は結構早かったね、ハル」

この子が笑顔で入ってくると、何故か嫌なことがあってもそれがすぐに飛んでいってしまう。
それどころか僕まで笑顔になってしまって。

「はいっ♪ 今日は部活がなかったんですよっ、クリスマス前だからって」

またクリスマス…
前言撤回…っていうんだっけ。
その単語を聞く度にイライラする。
例え自分の愛する人でも。

「…へえ…良かったね」

…でも、ハルには言わない。
いや、「言えない」
だってこの子…そういう行事とか好きそうだから。
自分の誕生日の日にケーキを買ってきてたし…
前の僕の誕生日だってケーキを山ほど買って…
夏祭りにつれていかされたり…
プールとか…秋祭りとか文化祭とか…

とにかく数え切れない程の行事に付き合わされた。
なによりもハルに心配をかけたくないしね。


だから、なるべく平然を装ったけれどハルは今までの笑顔を消して小首をかしげた。

「はひ? 雲雀さん…どうかしたんですか?」
「? 何で?」

ハルは僕の顔…目と目の間を指差して…

「眉間にシワが寄っていますよ?」

と言った。

…はあ…

全く…やっぱりハルにはかなわないよ。

ため息をついて座っていたソファーに深く座るとハルも僕の隣に静かに座った。

「雲雀さん?」
「…なんでもない。ただ、最近は群れる草食動物達が増えてイライラしてるだけだよ」

…クリスマスで。
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