RENORN!*短編

□「人形」
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私はあなたの人形…

あなたに従う…それが私の役目

あなたの役に立てればそれでいい。

私はあなたが…好きだから…


「梅野、あそこに群れてる草食動物達、片付けてきて」

恭弥さんは応接室の窓から見える校舎裏に群れている人達を指さす。

「…わかりました。恭弥さん…」

雲雀恭弥さん…並盛中学風紀委員長。
そして、最強の不良…

入学当初、恭弥さんに憧れた私はすぐに風紀委員に入った。
恭弥さんはいつも孤独で…でもそれがカッコ良く見えた。

そんな恭弥さんに憧れた…
でも、いつからか恭弥さんを『好き』という感情が芽生えて…

当たり前だけど恭弥さんは私の気持ちを知らない。
恭弥さんはきっと、私がただ憧れている、ということしか知らないだろう…

だから、いつも決まって私に命令する。


…群れてる草食動物達をかみ殺してきて…

と…

私はその命令に従わなければいけない。

あなたの…

人形だから…



応接室からでて、恭弥さんが言っていた草食動物の前…

男四人…
簡単…

男四人は立ちながら話をしている。
いかにも問題を起こしていそうな人達…

「そこの草食動物」

私が言うと、男四人はゆっくりとこちらを向いた。

「今からあなた達草食動物を…」

シャッ…

「かみ殺します…」

恭弥さんから渡されたトンファーを構えて相手を見る。

男四人は私をバカにしたような目で見た。

「なんだよ? 雲雀みたいなこと言って」
「風紀委員か? お前」

…そうか…私を知らないんだ…

思わずクスッと笑ってしまう。

私は恭弥さんの人形…
恭弥さんに強くしてもらって、それなりに人をかみ殺してきた。
今じゃ、誰も私に近づかない。

別に寂しくないけれど、私を知ってる人は、群れているとすぐに逃げてしまうからつまらない。

だって…

思う存分、かみ殺せないんだもの…
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